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颯人のいない寮の部屋で、一人勉強しているとスマホが鳴る。
…母親だ。
無視しようとしたけれども、スマホがずーっとガンガン鳴るだけだ。渋々でることにした。
『いっちゃん!!
4位だったんですって?!?!?!?!』
第一声から地球が滅亡するかのごとく、叫んでいる。
「…どっから聞いてんだよ。」
『学校の先生』
情報を知る速さに呆れる。こんなことしてるのうちの家族だけじゃねーの…。
『いっちゃん、やっぱり寮よりもお家の方がいいと思うわよ!ママ、毎日いっちゃんの好きなものいっぱい揃えて待ってるから!そうしましょ!』
……。
相変わらずアホな呼び方と提案に笑えてくる。
母親は俺の順位のことなんか、ぶっちゃけどうでもよく思っているだろう。ただ俺に帰ってきてほしいだけだ。
寮に入るという時も、こんな狭い部屋じゃ勉強に集中できないとか、セキュリティがなってないとか、何かにつけてダメ出しをして阻止しようとしてきた。
花嫁修行に専念して家族が全ての幸せなお嬢様だからしょうがない。
『え?…もう?…怒らないであげてね。』
電話越しで大ボスがお待ちかねのようだ。
しゃべりたくねー……。
『パパに代わるわね』
と、告げらると、電話でさえ嫌な緊張感が走る。
『………4位だったんだってな』
「はぁ………」
なんだよ、その無駄な間。
全てにおいて勘に触る。
『中学と高校では内容がまるで違うと言ったはずだ。それでも平気だと言ったのはお前だ。』
「….…」
『そんなことで医大に入れるのか。』
名門で4位なら入れるだろ、ボケ。
と、心の中で思う。
「期末は一位になるので、安心してください。」
父親には敬語、目の前にしたら正座をしなければいけないという昔からの謎の決まりだ。
しばらく離れてみて改めて思う。
時代錯誤もいいところだ…。
マジでいつの時代生きてんだよ、今、令和だからな!
『また順位が下がれば、家に戻すからな』
それだけ言うとブチっと電話が切れると、俺はしばらく動けずにいた。
…冗談じゃねーよ。
誰があんな家、戻りたいと思うかよ!!
能天気な母親がいたから、今までなんとかやってこられたが、進路を決めなきゃいけない時期にあんな奴のそばにいて、何でもかんでも命令されていたら……
父さんと話すと自分がどんどんおかしくなるような気がして怖い…。
父さんの近くにいたくなさすぎて、学校から20分くらいで通える自宅だけれども、勤勉と社会経験を理由に寮生活を申し出た。
父を含め家族はもちろん反対。
でも、首席合格を条件にしたからこそ今に至る。
あぁ…久々に接したけれども、やっぱりダメだ…。
………勉強しなくちゃ。
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