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それを知るのは――
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「…お待たせして申し訳ありません。」
「5分の遅刻よ?フフッ…けどまあ――許すけど…」
時刻は19時半を少し回り…
仕事を終えた信が姫島に指定された和食レストランに到着すると係員に案内され
姫島が待つ個室へと通される…
すると姫島は信が少し遅れたにも関わらず
意外にも上機嫌で信を向かい入れ――
「さぁ、早く席について?もう先に注文は済ませてしまったけど――
貴方は何か苦手なものとかはある?」
「いえ…特には――」
「そう…なら良かった。
私ねぇ……此処の旬の食材を使った天ぷらが好物で――
よくこの店に通っているのだけど…どれもとっても美味しいのよ?
貴方の口にも合えばいいのだけれど…」
「へぇ~…それは楽しみですね。」
信は姫島の向かい側の席に着きながら当たり障りのない返事を返し…
辺りを軽く見渡したあと正面の姫島と向かい合う
するとねっとりと纏わりつくような笑みと視線が信に向けられていて…
「…それにしても……相変わらず惚れ惚れする様ないい男ね。貴方は…
私の目に狂いはなかったって事かしら?」
姫島が先に用意されていた日本酒を一口飲みながら
まるで美術品でも鑑賞してるかのように目の前の信をマジマジと見つめる
「ハハ…お褒めに預かり光栄です。」
「あらぁ…褒めてないわよ?事実を言ったまで…
貴方の顔って本当に私好み…」
「はぁ…」
頬を染め…ウットリとした様子で信の事を見つめる姫島に
信はただ引きつった笑みを浮かべ…曖昧な返事を返すのみで…
―――おいおい勘弁してくれよ…
こんな密室で気のない相手に色気づかれてもただただ不気味なだけなんだって…
「ね~え~?ところで斎賀さん…」
「!はい…何でしょう?」
「貴方日本酒はイケる口?」
「え…?えぇ…まあ…」
「でしたら料理が運ばれてくるまでの間…私に付き合ってよ。
お猪口ももう用意あるし…」
そう言うと姫島は既に用意されているもう一つのお猪口(ちょこ)を信に差し出し…
信がそのお猪口を両手で受け取ると
姫島は信の持つお猪口に徳利(とっくり)の酒をトクトクと注ぎ――
「――さ、グイッといっちゃって。」
「…では…お言葉に甘えて…」
信はお猪口になみなみと注がれた酒をグイッと一気に呷(あお)る…
すると姫島がまるでホストでも持て囃(はや)すみたいにパチパチと手を叩き始め…
「フフッ…いい飲みっぷりねぇ~…
素敵だわ。」
「…ありがとうございます。」
信が飲み終わったお猪口をテーブルの上に置き…
ホッと胸を撫でおろしながらおしぼりで手を拭き始める…
そこに姫島が相変わらずねっとりとした視線で信を見つめ…
お猪口で酒を一口啜ると、口元に歪な笑みを浮かべながら口を開いた
「ねぇ…ところでなんだけど…
斎賀さん貴方――弟さんがいっらしゃるんですって?
それもかなり綺麗な顔立ちをした弟さんが…」
「…ッ!何処でソレを…」
「ウフフ…“M”から貴方の情報を買った時――
ちょっとした“おまけ”として教えてもらったのよ…
『高校生くらいの綺麗な弟が居る。』ってね。
あ!でも安心して?私今のところ貴方にしか興味ないし…
それに何より未成年には興味ないから…」
「はぁ…」
唐突に姫島から出て来た“弟”の話題に信は焦る…
しかし――
―――ん…?ちょっと待て…
信が“ある事”に気づき…
おしぼりで拭(ぬぐ)っていたその手が止まる…
―――葵が俺の弟(偽装)だと知る人物は少ない…
だとしたら――
「…斎賀さん…?」
「ッ!はい、」
「どうかしたの?ボォ~…っとしちゃって…」
「いえ…、別に…」
「…?そう…?
だったらホラ……もう一杯いかが?」
「…頂きます。」
信は再びテーブルに置いておいたお猪口を両手で持ち
姫島がそのお猪口に酒を注ぐ…
―――だとしたら…
案外“M”は俺の知る人物の中に紛れているのかもしれない…
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