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作戦。
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「ッだから待ちなさいって…っ、」
弾倉を確認した後、仁はベレッタ92を持つ手を背後に回すと
銃身をズボンと背中の間に差し込みながらバックヤードの扉に手をかけ…
そのまま後ろを気にすることなくバックヤードから出て行こうとするが――
そんな仁を白井が慌てて止めに入り…
「今出てってどうする気?!そのベレッタで外の奴等とやり合おうっていうのっ?!」
「…そんな気は無い。ただ――奴等の狙いはこの俺だ…
だったらここは素直に俺だけ表に出て――
俺自身の身柄と引き換えに奴らに神崎さんの解放を要求しようと思ってな。
このベレッタはその時の保険だ。万が一の為の…
だからお前たちは俺に構わず…葵を連れて早く此処を離れるんだ。いいな?」
「っ“いいな?”じゃないわよっ!
仮に貴方が出て行って――人質解放の交渉が上手くいったとして…
貴方自身はアイツ等に捕まった後どーする気なのよっ!
下手したら奴らに殺されるかもしれないのよ?!」
「いや…それはない。」
「っどーしてそう言い切れるのっ?!」
「もし仮に奴らが最初から俺を殺すつもりなら
人払いを済ませたバックヤードに俺を連れ込んだ時点で出来たはずだし――
なにより…こんな大掛かりな罠を仕掛けてまで俺を捕まえに来たって事は
きっと奴らにとって俺には何か“重要な役割”があり…
その役割を俺に果たさせる為にもは先ず俺を“生きた状態”で捕まえる必要があった…
だからコイツ等は俺がその役割を果たすまでは
俺を殺さないし殺せない……違うか?」
「ッ!?」
「あっ!コイツ…」
仁が冷めた視線を向けた先には
先程気絶させたはずの男の一人が床を這いつくばりながら
銃に向って手を伸ばしている真っ最中で――
「な~に勝手に起きてんだよ!もう一度寝とけ――」
「待て。」
「?」
男が動いている事に気がついた片瀬がもう一度男を寝かしつけようと
足で男の頭を踏んずけようとしたその時
仁が制止の声を上げ――
踵を返しながら床に這いつくばる男の元へと近寄ると…
男の前髪を鷲掴みにしながらその顔を上げさせ…
「さっきは聞きそびれたが…
お前たちは一体誰の命令で俺を連れ去ろうとした?その目的は?
俺を一体…どこに連れて行く気だった?」
「ッそんなの知るかよっ!俺達はただの実行部隊で…
後の事はアンタを捕まえた後に追って上から指示が来るって田中さんが…」
「ほぅ……という事はやはりお前たちを裏で操っている黒幕がいるって事か。」
「…ッ、」
「なるほどな。」
男の頭から手を放すと仁は口に手を当てながら暫く考え込み…
「…おい。白井とか言ったか…?ちょっと耳を貸せ。」
「…なによ、もう…」
仁に呼ばれ…白井は渋々仁の傍まで歩み寄ると
仁が白井の耳元で何やら耳打ちをし…
「……!駄目よそんなのっ……危険すぎる…!」
「だがこれならさっき考えた俺の作戦よりは上手くいくはずだ。
正直お前次第なところもあるが…
少なくとも神崎さんは助け出せる。…出来るか?」
「ッ、出来るっちゃ出来るけど…
けどこれだと貴方が奴らに捕まる可能性が――」
「俺の事はいい。それよりも時間が無い。
さっそく実行に移すぞ。
――だがその前に…」
仁が軽く溜息を吐きながら、未だに呆然とその場に立ち尽くす葵に視線を向ける…
「…まだそんな所に居たのか?早く此処を離れろ。」
「っでも…、」
「でもじゃない。」
「あっ!だったら…だったらさぁっ!」
葵はコートのポケットに手を突っ込み…そこからスマホを取り出すと
笑顔でソレを仁に見せ…
「みんなすっかり忘れてるけどケーサツ!警察呼ぼうよ!
これならひとくんも危ない目には――」
「駄目だ。」
「ッ、どうしてっ?!」
「もしここで警察なんか呼べば…
人質にされている神崎さんがどんな目に遭わされるか分かったもんじゃないだろう…」
「あ…」
「…分かったらお前は余計なことはせず…早く此処を離れるんだ。
おい片瀬、頼んだぞ。」
「ブ~ラジャー!」
「さてとそれじゃあ――」
仁はもう一度床で悔しそうに這いつくばっている男の前に屈みこみ…
両手で男の着ているジャケットを弄ると――
ポケットから男のスマホを抜き取り…
「ッ…俺のスマホ……どうする気だっ、」
「そうだな…お前にはちょっと……俺達の為に芝居でもしてもらおうか。
死にたくなかったらな。」
そう言うと仁は男のスマホを起動しながら
男の蟀谷(こめかみ)に銃口を突きつけた…
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