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協力者。
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「!コイツは…」
加納は稔から送られて来た画像を見つめながら眉間に皺を寄せ…
『…キミはさっきまでそこに映っているその子と――
一緒に居ただろう…?』
「ええ…居ました。」
そこに映っていたのは、信が水族館で撮った
シロイルカと葵のツーショット写真で…
『その子が――何処に連れていたかは分るかい…?』
「…恐らく地下六階のコロシアムです。
この子を迎えに来た奴らが言ってましたから…」
『コロシアム?』
「ええ…
今晩そこでショーが行われるのですが――
多分この子はこれからショーに出る信に言う事を聞かせる為に
コロシアムに連れて行かれたんではないかと思います…」
『ッ…なるほどね…
確かに葵君を人質に取られては、信も手も足も出せないからね…
ところで――キミに少し相談があるんだけど……いいかな…?』
「相談…?なんでしょう…」
加納が監視カメラを見つめ――
その様子をパソコン画面で見ていた稔が口を開く
『キミに――僕たちの協力者になってもらいたいのだけど…
できる…?』
「協力…?それって一体どんな…」
『ん~~……簡単に言うと信と葵君…
あとキミの知らないもう一人を助け出す為の協力かな。』
「俺の知らないもう一人って…?」
『あー……それは今は措(お)いといて…
とりあえずキミには信と葵君を助け出す手助けをしてもらいたいのだけど…
どうかな…?』
「ッ…、協力したいのは山々ですが…
御覧の通り俺はココに監禁されてて身動きが――」
『!それなら心配いらないよ。
もう気づいているかとは思うけど――実はこの建物…
地下六階のセキュリティシステム以外はほぼ全て僕の手中に収めてあるからね。
今此処の監視カメラの映像だって既にループ映像に切り替えてあるから
監視室にいる連中が、キミの異変に気づく事はないし…
それに部屋の鍵だって電子ロック系なら僕が居れば全てフリーパスだよ?
どうだい…?やってくれるかい…?』
「ッそれは――」
加納は眉を顰めながら、未だ震える自分の足に目を落とす…
―――信達を助けてやりたいが…
筋力も体力も衰えたこの身体じゃあ――
もし何かあった時に…かえって親父さんたちの足手まといになるのでは…
「………」
加納が苦渋の表情を浮かべたまま何も喋らないでいると――
稔がそんな加納を見つめながら静かに口を開き…
『もし――“自分が足を引っ張るんじゃないか”とか…
そんな心配をしているのなら――
心配無用だよ?』
「え…」
加納が驚いた様子で監視カメラを見上げると
稔が自信満々に応え…
『言ったでしょう…?
「地下六階のセキュリティシステム以外はほぼ全て僕の手中に収めてある。」って…
キミは敵に見つかる心配とかをしてるんだろうけど……大丈夫!
そこは僕が監視カメラを使ってキミを安全に誘導するから安心して!
キミは僕の指示通りに動いてくれさえすればそれでいい……簡単だろう…?
だからお願いだ……どうか僕たちに力を貸してくれ…っ!』
「ッ、しかし…、」
加納は再び俯きかけ…
―――何躊躇ってんだよ加納 輝彦…!
お前は信達を助けたいんじゃなかったのか?!
もしここで日和って断ったりなんかしたら…
それこそ後で絶対に後悔する事になるぞ?
いいのかそれで…!
「ッ、」
『絶対にキミを危険な目になんか遭わせたりしないから…
だから…っ、』
「…分かりました。協力します!」
『…ッ!本当かい!?』
「ええ……むしろコチラからお願いします。協力させてください!
俺――この建物について結構詳しいんで…
絶対役に立てると思います!」
そう言うと加納は決意を決めた眼差しで監視カメラの方を見つめる…
するとスマホから嬉しそうな稔の声が聞こえ…
『ありがとう…加納君…!恩に着るよ!』
「いえ…こちらこそ…
それで――俺はこれから何をすれば…」
『ん~~~…そうだなぁ~…
先ずはとりあえず――着替えよっか。』
「………は?」
『いやだってその恰好――
これからステルスミッションするには
ちょ~~~っとセクシーすぎるかなぁ~…って』
「…バスローブが…?」
―――確かにこの格好で通路に出たら目立つ気が…
いやでもボンテージで出歩いてる奴とかもいるし…
『他に――着る服は?』
「…この部屋にはないです。
あ、でも――
この部屋を出て右に二部屋進んだ先に衣裳部屋があります。」
『衣裳部屋?』
「はい……コスプレとかそういうのの。」
『ふ~ん…コスプレかぁ~……って事は――
そこに通路を巡回している警備の奴等が着ているような…
黒いスーツやサングラスみたいなのはあるかな?』
「黒いスーツやサングラス…?多分あると思いますけど………あっ!
ひょっとして――」
『フフッ…気がついたかい?』
「ええ……けど――衣裳部屋に行くにしても…
この部屋の前には警備の奴等が――」
『それなら心配ご無用だよ。
ちょっと待ってて…』
「…?」
そう言うと稔はパソコンの画面を部屋の前の通路に移し…
ドアを挟んで部屋の前で待機している2人の警備員の姿を捉えると――
稔は徐(おもむろ)にパソコンを操作し…にこやかにEnterキーを押す
するとその通路に設置してある天井のスプリンクラーが一斉に作動し――
プシャァァァァァァァァァ…
「ッ!?!?ちょっ、、おい何だコレッ!」
「知るかよっ!どうせまたスプリンクラーの誤作動か何かだろ?この前もあったし…
とりあえずコントロールルームがここを監視カメラで見てるだろうから
俺達はコレが収まるまで別の通路に移動するぞ。」
「…ったくぅ~……スプリンクラー直しとけって
この間整備の奴に言っておいたのに…」
2人の警備員はびしょ濡れになりながらブツブツと文句を言うと
足早にその場から離れていき…
稔は再び画面を加納の居る部屋に戻すと――
ちょっと楽しそうにその口を開いた
『…さ!邪魔者は追っ払ったよ?
また奴らが戻ってくる前に早く衣裳部屋とやらに行こう。』
「えっ?!あ……はい。
ところでこの部屋の鍵は――」
『もう開けたよ?』
「そうですか…」
―――なんかスゲーな。信の父ちゃん…
加納はよろけながらドアに向い、ほんの少しだけドアを開ける…
するとドアの向こう側は室内なのに土砂降りで――
「………」
『あ、ごめん。
今スプリンクラー切るから…』
稔がそう言うと、物の数秒で通路に降る雨はやみ――
加納は通路に誰もいない事を確認すると
壁に手を突きながら、出来るだけ早く衣裳部屋へと目指す…
そして目当ての衣裳部屋に辿り着くと、再びドアを少し開けて中を確認し…
部屋の中に誰もいない事を確認すると
加納は身体を滑り込ませるようにして部屋の中へと入った
「ふぅ……」
―――本当にフリーパスだな。部屋の鍵…
加納は壁に寄りかかりながら部屋の中を軽く見回すと
目当てのクローゼットに向けてゆっくりと歩き出し…
『ところで……この部屋大分広いけど――
何処にどんな服があるのか分かるのかい?』
「えぇ……もう数えきれないほど色んなコスプレをさせられましたから…」
加納は忌々し気に顔を顰めながらそう言うと
辿り着いたクローゼットを開ける…
すると8畳ほどの部屋になっているそこにはサイズ順に
色も種類も様々なスーツがズラッと並んでいて――
「さて…と…」
―――確か…警備の連中が着ていそうなスーツはこの辺に――
「あった。」
加納は一着の黒いスーツを手に取ると、それをマジマジと眺め…
『…お!見つけたのかい?』
「ええ…」
『それじゃあ早速それに着替えよっか。
時間もないしね。』
「分かりました。」
そう言って加納はバスローブをさっさと脱ぎ捨てると――
黒いスーツに着替え始め…
「…終わりました。」
『ん…どれ――
おお!似合ってる似合ってる!』
『ちょッ、、アタシにも見せて下さいっ!』
『わっ……ちょっと白井君っ?!』
『――ッ!?!ああっ…素敵ですっ!///加納の兄貴…っ!♡』
『あぁ……そういや――白井の兄貴って大ファンだったよな。
加納の兄貴の…』
『この画像――アタシのスマホに今すぐ送ってくださいっ!
あ!ちなみにさっきの兄貴の着替えシーン…録画ってしてあります?
あったらそれもアタシのスマホに――』
『し て ま せ ん 。
それより――サングラスも欲しいね。あるところは?』
「知ってます。」
加納は同じ部屋に置いてある鏡台付きのチェストの引き出しをスッと開けると
そこには色の濃淡が違うサングラスが、種類別に綺麗に並んでいて――
「コレかな?警備の奴等が着けてるサングラスに近いの…」
加納は手に取ったサングラスをかけながら
鏡に映る自分の顔を見つめ…
―――あぁ…なんか懐かしいな。こういうの…
加納はフッと小さく微笑むと、鏡に映る自分を見ながら前髪を整える…
するとスマホから『きゃあああああっ♡♡♡』という野太い悲鳴が聞こえ…
『もうもうもうもうッッ!!素敵すぎますっ!加納の兄貴…!
そーしてるとまるで――
昇竜会時代の兄貴が帰って来たみたいな…』
「ッ…ああ…そうだな…
俺も思い出すよ…」
加納は寂しげな笑みを浮かべながら
鏡に映る自分の顔を感慨深げに見つめている…
すると稔が加納に声をかけ…
『…準備は出来た?』
「…はい。」
見れば加納はいつの間にか小道具と思われるインカムまで耳に着け…
見事なまでに外を巡回する警備員と同じ格好をしており――
『…うん、完璧だね。
さてとそれじゃあ早速だけど――キミには僕の目になってもらって…
これから地下六階に向ってもらうわけだけど…
でもその前に、ちょっと電話したいところがあるから――
キミは少しそこで待っていてもらえるかな…?』
「…分かりました。」
『ん…待っててね?すぐ済むから…
それじゃあ――』
ピッ…と通話を切ると、稔は別の所に電話をかけ始め…
「…何処にかけるんす?」
「ん…?勝治郎くんのとこ。」
「しょーじろーくん…て――――えええっ!?!?
だ、だ、だ、、駄目っすよっ!親父にかけちゃあ…っ!
もし昇竜会が動いたってバレたら若や葵さんが…!」
「大丈夫だって!
もう倉庫周辺の監視カメラの映像は全てループさせてあるから――
監視室で監視カメラをチェックしている連中が外の異変に気づく事は無いし…
それに――」
「それに…?」
稔が電話帳から『久米 勝治郎』を押し…
呼び出し音が鳴るスマホを耳に中てるながら
ルームミラー越しに不安げな視線を送る片瀬の方をチラリと見やると――
稔はゾッとする様な冷たい笑みを浮かべながら、その口を開いた…
「どうせなら……死ぬほど後悔させてやりたいじゃない…?
愚かにも――信と葵君を連れ去ってくれた憐れな豚にさぁ…
だからその飼い主である勝治郎君にも手伝ってもらわないと…
二度とこんな真似ができないよう――
“ヤクザ式の折檻方法”を使って勝治郎君にこの豚をちゃ~んと躾てもらわないとね…」
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