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84 遊園地デート帰り道
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sideゆきひろ
力尽きたのか、俯いて寝息を立てている
カーブを曲がった時に腕の中のものがスル、と横き落ちる
そっと拾ってやって膝の上に乗せた
てか何でパンダなんて買ったんだろう
そういうものに興味を持つタイプにも見えない
「ちょっとコンビニ寄るな」
寝ているから声をかけても返事がないのは分かっていても伝えたくなってしまう
駐車場に車を停めるとカクンと俯いた髪をそっと撫でた
こんなに脱色させてカラー入れてるのにほんとサラサラ。
「なんか食べたいのある?買ってくるよ」
誰かを好きになって何かをしてあげたいと思うとかなかったのに。今俺は絢を構いたくて構いたくて仕方がない
ほんとに、柄じゃないのに。
ふぅ、と息をついてスマホを開く
特に仕事の連絡は入ってないな。
確認して、スマホを閉じかけた時
俺はハッと息を飲んだ
「…ん、なんか言った?」
散々話しかけたから目を覚ましたのか少し辺りをきょろきょろしてる
「絢?」
お前、それ買ったのって。
「なに?」
マスク越しにふわ、と欠伸をしたのか口を抑えている
「お前ほんと何。可愛すぎない?
パンダの小さいやつ買ったの、これ見せたから?」
スマホ画面に映るのは焦る絢に見せた癒し画像こと、赤ちゃんパンダの画像。
この画像を見せたことさえ忘れていたけど、昨日の夜万が一絢が不安になったら見せてあげようと「癒し 可愛い画像」なんて打って検索していたもの。
改めて見ると絢の買ったパンダのストラップにどことなく似ている気もする
「……そうだけど。なに?」
不貞腐れたように睨んでくる瞳に、心臓が痛いくらい締め付けられる。目の前の人がこんなにも可愛い。
「はぁ…」
「なに、ため息つくほど嫌だった?」
ぎち、と強く握られてしまったストラップ。
「違う。違うよ、お前ほんと可愛いな」
「は?」
「コンビニ行くけど、一緒に来る?なんか買ってやるよ」
「…?
なにお前。訳わかんない」
「いいから。行こ」
車を降りた絢は早速スマホを弄りながらついてくる
「何食べたい?」
「んー」
「レジ前のチキンとかも好き?」
「うん」
「じゃあそれな。」
「…ありがと」
「この前葵の家にいた時もジャンクフード好きって言われてたし、そういう系好きなんだな」
「そーだね、結構すき」
「覚えておく。んー、俺はサンドイッチ」
サンドイッチをカゴに入れて、レジに向かうと思っていた絢は俺が反対方向に歩き出したのを見て不思議そうに首を傾げる
「どれがいい?」
「どれがいいって……はぁ?」
「0.01でいい?」
「2人で買いに来るとかバカじゃん」
「これは要らない?」
「お前ガチガチだったじゃん」
後ろから小さく背中を叩かれる
思わず笑ってしまえば絢は早く帰ろ。とそっぽを向いた
精力剤は入れずに、ゴムだけをカゴに入れてレジに向かえば、店員の女性は俺と絢を見た後、何故か嬉しそうに笑顔を向けてきた
なんの笑顔だそれ。
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