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自分が一番辛い時にそばにいる人が他人に言われて嫌々。
本当は嫌だと、めんどくさいと思いながらいるんだろう、と。
それでも、好きかもしれない、そう感じてくれた時も俺はただの同情で居るだけかもしれないって。
そんなのって。
「…俺のこと好きっていつも言ってくれるから、伝わってるんだよ
…でも、それってほんとは…そういう気持ちからきてるんじゃないかって、思う」
そう言って突然立ち上がると「ごめん。少し、1人になりたい」と部屋を出た
真慕の出ていった部屋はただの畳と障子、大きな机だけが残る
ただそれだけの、本当にそれだけの部屋。
分かっていたけれど真慕がいないと俺は何も楽しめそうにない
この時点で既に可哀想という同情でそばにいるというひとつの可能性は否定できる
それ以外にも上げればキリが無いほど俺には真慕が必要だった
…真慕。
本当に大切な人。
あんなに泣いていたし、それは違うと一刻も早く伝えたくて後を追う。
部屋を出て直ぐにその姿を見つけてほっとする
共有スペースの椅子に腰掛け、じ。と1人何かを考えていた
「真慕。」
後ろから驚かせないように小さく声をかける
「あ、おい…1人にしてって言ったじゃん」
振り返った真慕は先程までの名残か、目元が赤くなっていた
「ごめんね。ちょっとだけ、俺の話聞いて欲しくて」
「だから…」
「違う。 違うよ、真慕。
これはだけ少しでも早く伝わって欲しい
俺は親に言われたから真慕の元にいたんじゃない。今だって可哀想だからって一緒にいるんじゃない
それだけは少しでも早く知っていて欲しい
落ち着いたら部屋戻ってきて?そしたら俺の話聞いてくれる?」
こく。と頷いてくれた頭を撫でる
少し照れくさそうに目を背ける姿に…いや、もう毎秒だ。真慕の仕草ひとつで俺は簡単に胸を掴まれてしまう
「じゃあ待ってる。何かあったらすぐ呼んでね」
そう言って部屋に戻ったのが少し前。
当時のことを話していたタイミングで真慕は見てしまったらしい
幸か不幸か、相手が絢ちゃんだったからかパニックには陥っていない
とは言っても真慕に泣かれてしまうのはどんな状況であれ、何回目であれ辛いものがある
ふわふわの子犬のぬいぐるみも涙で濡れてしまっていた
「…っ、」
耐えるように静かに泣く背中を撫でる
暫くそうしていると涙も引いてきたようで、体からも力が抜けていった
「びっくりしたね」
真慕ついてない、とクスと笑って見せれば「ほんとついてない」と真慕も口を尖らせた
…うん、大丈夫そうかな
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