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SAKURA Drop
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「桜……、散っちゃう……」
俺の上で細い身体を揺らしながら、窓の外に視線を向け、切ない声を上げる。
窓の外では、昨夜遅くから降り始めた雨が、今もなお降り続いている。
「集中して?」
俺は上体を起こし、上気した頬を両手で包み込むと、窓の外に向けられた視線を、無理矢理に俺に向けさせた。
薄らと開いた唇を塞ぎ、乱暴に舌を絡めてやれば、キュッと締め付けられるような感覚に、俺の身体がブルっと震えた。
「やっべ……」
一気にせり上がってくる射精感に、俺は堪え切れず熱く蕩けた体内に吐き出した。
「ごめ……」
「ううん、俺も、もう……んん……」
謝ろうとした俺を遮るように小さく呻いた智樹の身体が小さく震え、俺の腹に熱いモノを吐き出した途端、智樹は脱力したように身体をベッドに投げ出した。
「花見……行けなかったね?」
睡魔に負けそうな目で恨めしそうに窓の外を眺め、智樹がポツリ呟く。
「うん。この雨じゃ、きっと散っちゃうだろうしね……」
智樹の隣に身体を横たえ、背中から抱き締めてやる。
「ねぇ、翔真? 絶対に散らない桜、ってないのかなぁ?」
そんな物あるわけない……、そう思いながらも、俺は必死で知恵を絞った。
そして、あることを思いついた俺は、智樹の背中に唇を押し当てると、少し強めに吸った。
智樹は擽ったがって身を捩ったけど、構わずそれを何度も繰り返した。
すると智樹の背中には、いくつもの赤い華が咲いて……
「智樹の背中、桜が満開だね?」
そう言うと、智樹は少し照れたように顔を両手で覆って、「バカ」と呟いた。
そうだ、俺はバカだ。
智樹のためなら、どれだけだって俺はバカになれるんだよ。
「もっと咲かせて上げようか?」
腕の中で智樹の身体を反転させて、胸、脇、腹…至る所に赤い華を散らしていく。
その度に智樹の口からは悩ましい声が漏れた。
「綺麗だね、智樹の桜…」
髪を撫で、最後に額にキスをすると、智樹がフッと視線を逸らした。
「どうしたの? 気に入らなかった?」
「違うよ……。そうじゃない…」
「じゃあ何? もしかして、怒ってる?」
「怒ってないよ。たださ……、これもいつかは散ってしまうんでしょ? それが寂しくて……」
考えてもなかった。
そうだ、智樹の全身に咲いた赤い華だって、一週間もすれば跡形もなく消えてしまう。
それが寂しいんだ、と智樹は一つ鼻を啜った。
でも……
「この華が散ったら、また咲かせて上げるよ。何度だって咲かせて上げる」
智樹の身体に咲いた桜の花が散ってしまわないように、何度だって俺が……
「約束だよ? 来年、また桜が咲く季節までずっとだよ?」
「うん。ずっとだ……」
小さな蕾が膨らんで、また花開くその時までずっと……
おわり♡
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