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フープピアス
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「そ、そういえば宇井原は穴あけてねぇよな」
気を紛らわすように問いかければ、宇井原は嫌そうに眉を寄せる。
「あー、なんかジャラジャラうっとおしくね?」
「そう?」
「耳になんかついてる違和感がキモそう」
「キモそうって..」
もっと言い方があるだろうと突っ込みたくなるような容赦のない物言いは何処と無く宇井原らしい。
「穴はあけても違和感ねぇだろ」
「消毒とか面倒じゃん」
「あー、それは確かに」
俺も面倒だからと疎かにして一度膿んだことがある。
面倒くさがりには、開けたばかりのころは辛いかもしれない。
「でも、もしかしたらこの先開けるかもしれないだろ?」
「まあ、そうだけど」
「一個だけでも買っておいたら?」
「はぁ?いらねぇだろ」
「何でだよ、買おうぜ!」
「...なんでそんな買わせたいんだよ」
何か企んでいると思われているのか、何かを探るような目を向けられ、うっと息が詰まる。
企んでいるかと聞かれれば、思い切り企んでいる。
「いいじゃん、俺が買ってやるから!」
「別にいいけどよ」
「じゃあ、せっかくだし一緒の買おうぜ」
「はぁ!?なんでそんな女子みたいなこと」
「いいじゃねぇかよ、記念だ記念」
何だかんだで、こういう時友だちという立場はすごく得だ。
怪しまれることなく、お揃いのものを買えてしまう。
しかも、ペアのピアスなんてまるで恋人同士じゃないか。
「宇井原はごちゃごちゃしてんの嫌いそうだし、シンプルなのがいいよな」
納得しきっていない様子の宇井原を押しのけて、シンプルなシルバーと黒のフープピアスをレジへと持っていく。
ペア用に作られたものではないけれど、一緒のものを持っていると思うだけで、気分が高揚するのを止めることは出来なかった。
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