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昔の記憶
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あれは高校2年の冬の事だった。
ヒデと二人で俺の部屋で遊んでいるとき、俺はヒデに自分の本当の想いを言った。
「俺ずっとヒデのことが好きなんだ」
小さな声で言ったその言葉はしっかりとヒデの耳に届いたらしい。でもヒデは俺から顔を背け下を向いた。
終わったな、まぁ当たり前か。
男が男に告白して成功するはずがない。
そう思ったときだった。
「…うん、俺も好きかも…」
ヒデの声は俺よりも小さくか弱いものだった。でもおれの耳にはしっかりと届いた。
その時ヒデが俺にしたことは拒絶ではなく受け入れだった。
嬉しすぎて、つい下を向いているヒデを思いっきり抱き寄せ、そのままヒデの額にキスをした。ヒデはそんな行為に照れたらしく耳までも赤くなっている。それが可愛くてヒデの顔を無理矢理俺の方に向かした。
「ありがと」
そう呟き次は唇にキスをした。何度も、何度も。それも次第に深くなってきた頃、俺とヒデは理性を失いかけていた。
二人とも過去には付き合った女子がいる。だからキスやセックスもしていた。
なのにたったキスだけでここまで理性を失いかけたのは俺は初めての体験だ。
俺はヒデの制服のボタンを外しながら何度もヒデにキスをした。ヒデも俺と同じようにしていた時だった。
ピタッとヒデの手が止まり、俺の手に重なる。不思議に思いしっかりとヒデの顔を見ると、ヒデは涙を流していた。
「ごめん…やっぱ無理だ…」
その時のヒデの顔は、いつの間にか涙でぐしゃぐしゃになっていて、唇を強く噛んでいた。
そしてヒデは、それだけ言って部屋から逃げるように出ていった。
一人残された部屋で何を考えていいかわからず、ふと窓の外を見てみると雪が降りだしていた。
俺はその風景をただ茫然と見つめていることしかできなかった。
次の日、行きたくない足を無理矢理学校へ向けた。でもヒデは来なかった。昨日のこともあるし当たり前だと思っていたが、現実はそう甘くないらしい。
ヒデは次の日もまた次の日も休んだ。不思議に思いあの日から1週間が経った放課後に、ヒデのクラス担任に聞いてみると「転校した」とだけ言われた。
その担任も俺とヒデが仲が良いのは知っていたら、その質問に驚きを隠せていなかった。でもそれは俺も同じでただただ呆然とする事しか出来なかった。
担任が俺から離れたとき窓ガラスの向こう側をみた。
「あ、雪だ」
窓の向こう側には、いつの間にか雪が降っている。それがとても綺麗なモノのように思えて、ついそれに魅入ってしまう。
あの日と同じように降っている雪に触りたくなり窓に両手を当ててみる。
「おーい、もう帰れよー」
廊下を歩いていた年老いた先生が俺に向かって言う。
今までだったらヒデと二人でその先生に向かって何か言って帰っていたのに、今はその相手がいない。
その時初めて虚しさ知った。
そして、それと同時にこれほどまでにヒデを好きになっていたんだと思い知らされた。
俺はその日を境に、この虚しさを埋めるためだけに色んな女や男と関係を持つようになったのだ。
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