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「ええ?!それは未遂です!!」
大久保さんの叫びに、風見は頭が痛くなった。
「ええ?!そうなの?!」
更に重なった忍さんの驚きぶりに、この当事者め!と思わず悪態をつきそうになった。
「皆さん、落ち着いてください。抱くにも色んな意味があります。」
そう、ハグも抱くだし、セックスも抱くだ。
日本語は深い。
雨、飴、箸、橋。
セックスの抱くなら、とんだ近親相姦のゲロ野郎ということになる。
「大久保さんの未遂は、ハグの抱くですか?セックスの抱くですか?」
「せせせ、セックス?!」
ぶんぶんと頭を振りまくった大久保さんは、あり得ない!と半泣きになって訴えた。
「あり得ません!わたしが息子をせせせ、性的な対象に見るなんて!!」
・・・だよね。
新里さんを見ると、納得いかない顔をしている。
「だって忍が寝たと言った!」
ほらほら。
でたぞ、でたぞ。
「ええ?!ぼく先生にそんなこと言ってない!」
「言った!」
「言ってない!」
寝るにも色んな意味がある。
性的な寝ると、すやすやの寝るだ。
「・・・お静かに。忍さん、先生ってどなたのことですか?」
先生と呼ばれるのは、主に教員、弁護士、政治家、作曲家や漫画家など。
つまり、大久保さんは、
「大久保先生です・・・その、大学の。」
だよね〜、だ。
学生が先生と呼ぶ人物の職業は限られる。
「君の恩師という訳ですね。」
「・・・はい。」
てことは、
「授業中の居眠りのことを、新里さんに話したんじゃないですか?」
「・・・あ。」
両手で口を押さえた忍さんに頷いてみせた。
「話したんですね?」
「話しました!さっき!」
「はあ?!」
はい、もう一つ完了。
マジかよ?嘘だろ!!と騒ぎだした声を背に、不動産屋のご老人に向き合った。
「先ほど忍さんから『お父さん』と呼ばれていましたが、育ての父ということでしょうか。」
ご老人は一度目を丸くすると、にっこりと微笑んだ。
「そう呼ばれることは光栄ですが、わたしはただの近所のおじいちゃんですよ。」
はい、解決。
小夜をチラリと見ると、キラキラした目で俺を見上げてくれている。
もう少しで終わるからね、小夜。
目配せすると、嬉しそうに笑ってくれた。
さて。
風見は腰に手を当てると、次の標的に向き直った。
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