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「あ、そうそう。さっきの話なんだけど。」
ザ・勘違い暴走野郎加藤と膝を突き合わせて話し合い、SMは間違いだと懇々と、こんっこんと言い聞かせ、ようやく誤解が解けた後に、山田さんが笑顔で言った。
「知り合いの不動産屋が、少しクチをきいてくれるって約束してくれたわ。」
「本当ですか?!」
不動産屋同士の横の繋がりは深い。
客には洩らせなくても、同じ業種なら込み入ったことも聞ける。
「力になれるか分からないけれど、努力してみるって言ってくれたの。」
「ありがとうございます!」
感謝しても、し足りない。
俺は深く深く頭を下げた。
「・・・ただ、ワタシ、ちょっと気になってるの。」
俺は顔を上げた。
首を傾げた山田さんは、空中で人差し指をくるくると動かした。
「その喫茶店が入っている建物、何ていうビルなのかしら。」
・・・え?
「家賃が高い駅近なんでしょ?普通は別に家があるわ。でも、その子・・・。」
あ。
「二階に住んでたみたいだった・・・!」
つまり、一階の喫茶店はテナント募集にして、二階の住居部分には、そのまま住んでいる?
「その二階へは、お店の中からしか行けないのかしら。」
「いや・・・、表には階段は無さそうでしたけど。」
表になければ、裏にあるかもしれない。
加藤と目を合わせた。
「「地図!!」」
マップを見れば、建物の後ろに人が通れる路地があるか分かる。通れそうなら、裏に上階に続く階段があってもおかしくなかった。
「・・・道がある!!」
もしかしたら、二階の電気が点いているかもしれない。
そしてそこには、忍がまだいる可能性が残っていた。
「山田さん、ありがとうございます!ちょっと行ってきます!!」
「ええ、気をつけて。」
盲点だった。
てっきり引越したのだと思い込んでいた。
俺は山田さんの店を飛び出した。
「新里ッ!」
「大丈夫だ!お前は気をつけて帰れ!」
加藤が大声で叫んだ。
「しっかり掴まえて来いッ!」
「おう!」
今度は逃がさない。
抱きしめて、離したくないと伝えるのだ!
玉砕したって構わない。
忍をひとりにさせない!!
「・・・絶対に!」
体育会系の全力疾走を、舐めんなよッ!
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