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161 after story 47
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そんな平和な朝に震えたのは小夜のスマホだ。
早朝からの連絡は、大抵悪いニュースだ。
思わず風見と顔を見合わせてから、震えのおさまったスマホを手に取った。
「・・・良かった、光太郎くんだ。」
園からなら、早朝勤務の先生が急遽休んだから早く来てほしいという内容だったり、時期的にコロナ関連の悪いニュースの可能性がある。
長崎からの連絡であれば、年老いた祖父に関わるニュースかもしれない。
そのふたつが消えただけで、小夜の緊張した肩の力が抜けた。
「え、こんな時間に?」
「うん・・・。」
お互いこの時間は起きているから良いものの、一般企業に勤める人ならブチ切れる時間だ。
現に風見さんは不可解な顔をしている。
「どうしたのかな・・・。」
届いたメッセージを見て、小夜は首を傾げた。
「ねこ・・・?」
「ん?」
風見も身を乗り出して小夜の手元を覗き込んだ。
『コーヒー屋さんの言うネコはネコのことだって分からなくてネコのこと話しちゃった!今日早出で説明出来ないから、お兄ちゃんに電話かかってくるかも!』
さっぱり分からない。
「コーヒー屋さんって、・・・忍さんたちのことかな?」
そう言いながら風見さんの顔を見ると、風見さんはなんとも言えない表情をした。
「えっと、小夜。」
「なに?」
風見は嫌な予感しかしない文面を見て、ズキリとこめかみが痛んだ。
「このネコってさ、」
小夜の手の中で震え出したスマホを見て、風見は顔を顰めた。
「あ、忍さんだ。」
風見は思わず電話に出ようとした小夜の手を押さえた。
めちゃくちゃ嫌な予感しかしない。
ネコをネコって、いわゆるbottom(受け)の話だと思うのだ。
「小夜、待って。ちょっと整理しよう。」
「え?え?」
風見は小夜のことを良く理解している。
真面目で優しくて傷つきやすくて、でも天然でたまにとんでもない事をやってのける人物だという事をだ。
この電話は危険だと第六感が告げている。
そして小夜が出ると、さらに状況は酷くなると予測できた。
風見のモットーは綿密な計画だ。
ド天然小夜が、ネコをネコの説明をした超ド天然の光太郎くんの後始末が出来るわけがない。
良くも悪くも振り回されてきた風見の感は、絶好調に冴えていた。
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