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凍える夜を焼く2
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だが少年は、それでもまだ、寝て起きたらある程度復活しているだろうという希望的観測を捨てることができなかった。だからこそ、そのまま泥のように眠りについたのだが、どうやら自分の体力を過大評価していたようである。
こうして寝苦しさに目を覚ましてみれば、寝る前に感じていた悪寒はよりひどく、体は熱いのに奥の方は凍えているという、なんとも不可思議な感覚に襲われている。
やはり疲れが出たのだろうと、少年はぼんやりする頭で考えた。記憶に新しい森での出来事は随分と神経を削ったから、こうなってもおかしくはない。
そういえば前回の時も少し熱が出たのだったか。少年は、初めてこの王宮に入ったあの日も、そんなに体調が優れなかったということを思い出した。あの時は、それでも普段通りに過ごせる程度のもので済んだのだが、どうやら今回はそうではないらしい。元々あまり身体の調子が良くなかったとかなのだろう、多分。よく判らないけれど。
回らない頭でそんなことを考えながら、少年はうっすらと開いていた目を閉じた。
耳障りな自分の荒い息が耳につくからか、再び眠りに落ちることが難しい。朝になって誰かが来る前に、少なくとも誤魔化せる程度には回復していないといけないのに、と思えば思うほど、眠気は遠ざかる一方だった。
そういえば、眠りにつく前に見えていた赤いトカゲはどこに行ったのだろうか。ぺちぺちと頬を叩く小さな手に、大丈夫だと答えた覚えがあるから、少なくとも寝る前は確かに枕元にいたはずだ。だが今は、動かずに見える範囲に赤色は映らなかった。
もしかすると、荒い呼吸が煩いから離れたのかもしれない。だとしたら、それはとても申し訳ないことをしてしまったな、と少年は自省した。きちんとした寝床を用意して貰って、別の場所に寝かせてあげれば良かったのに、体調が悪いことを理由にそれを怠った。これは自分の落ち度だ。
相変らず物事を悪い方向へ考える少年の気分は、自己嫌悪が重なることで更に悪化したようだった。これでは治るものも治らないだろう。
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