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ひなたぼっこ6
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けれどこうして関わらざるを得ない状況となってみると、存外楽しいものだった。無論、相手がただの獣ではなく、少年がどうしなくてもどうとでもなる最高峰の幻獣だから、というのも大きい。仮に少年が今この場で死んだとしても、このトカゲは問題なく生きていくことができるだろう。
少年にとって、そういった安心感はとても重要なのだ。もしも自身の護衛を兼ねた幻獣ではなく、ただの動物をペットとして贈られていたら、何が何でも断っていたに違いない。
「ティアくんで良かったなぁ」
その呟きに、トカゲの動きが止まる。つぶらな瞳を見つめ返して、少年は笑みを深めた。
「僕のところに来てくれたのが、ティアくんで良かったなって、思ったんだよ」
この幻獣が自分に対して友好的で懐いてくれている理由は、赤の王がそう頼んだからなのだろう。それくらいは、少年も察している。恐らくトカゲにとって重要なのは“赤の王に頼まれた護衛”であって、少年という個ではない。
でもそれでもいい、と少年は思っている。自分は信頼やら好意やらを向けられるような人間だとは思っていないし、赤の王への好意、の方がきっとトカゲの中でブレがない。むしろそれを芯にしてくれていた方が、少年も変な疑心を抱かず済んで安心だし、向けられる好意を受け入れやすいのだ。
嬉しいな、と少年は思った。疑う必要のない好意は、思いのほか心地良い。
(……グレイさんに頼んで良かった)
今日少年がトカゲをスケッチしたのは、少年なりにトカゲに何かしてあげようと思ったことがきっかけだった。
何をしようか考え、真っ先にプレゼントという考えが浮かんだときは、あの王の影響を感じて少し背筋が寒くなったが、物を贈るということ自体は悪くない。
では何を贈るべきか、だが、無い頭を絞って考えた結果、火を好んで食べるトカゲだから、火が起こせる何かにしようという結論に至ったのだ。しかし、具体的にどんな品にするべきか、というところで行き詰まった少年を助けてくれたのが、つい昨日金の国に派遣されてきた天ヶ谷グレイだった。
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