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番外編:髪を切る (アゲハ)1
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※20話の両思いになった後、揚羽の新しい一歩を踏み出す前の話になります。
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いつものお昼の時間。
いつも通り衛におかずを分けながらお弁当を食べ、残り20分の時間を特に会話をすることなくのんびり過ごす。
3日前に、少しだけ変わった僕たちの関係。
少し前までは、向かい合っても落ち着かない2人の時間だった。
今は隣に寄り添うと、少しの緊張はあるけど落ち着く2人の時間になった。
キスをしたのは気持ちを伝え合った日だけ。
付き合い始めたばかりだし、次のステップは当分先。
僕たちがもう少し成長した時かな。
今は隣りに並んで手を繋いで過ごすだけの、まるで小学生のような関係。
衛には少し物足りないだろうけど、歩みの遅い僕に合わせてくれようとしてくれる。
それだけで幸せだ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「先輩」
「んー?」
僕の頭に寄りかかるように頭を乗せる衛は、少し眠そうに返事をした。
「僕、週末に髪を切りに行くことにしました」
「んー、そぅ……髪、切るんだ……んっ?」
うとうとしていた衛は僕の言葉で覚醒したようで、寄りかかっていた身体をガバリと起こした。
「揚羽、今何つった?」
「えっ。週末に前髪、切りに行くことにしました」
「何でっ?」
想定外の反応に僕は驚いた。
衛なら「それは良い」と背中を押してくれると思ったから。
「色々考えたんですが、キャラチェンは急にはできそうもないので、とりあえず見た目から変わろうかなって……。それで昨日、姉に相談したら、週末、美容室に行くことになったんです」
「け、結構、急だなぁ」
「姉が通っている美容室で、予約を僕に譲ってくれたんです。僕としてはその辺の床屋さんとかでもよかったんですけど……」
昨夜、電話で相談したら「5分待って」と電話を切られ、5分後に掛かってきた電話で「美容室予約したから」と言われたのだ。
「そ、そうか」
「それで、週末の約束なんですが、キャンセルしてもいいですか?」
週末、衛と出かける約束をした。
気持ちを伝え合って初めての休みに2人で出かける予定だったんだけど、そこに美容室の予約が被ってしまったのだ。
姉には学校祭での借りもあるし、この予約も元々は姉が自身の髪のメンテナンスのために予約していた枠だ。
だから、その善意を僕は無碍にできなかった。
「そうか……」
衛に少し残念そうな顔をされ、胸が痛んだ。
「来週。来週は一緒に出かけましょう」
「んー……」
衛は一応納得してくれたみたいだけど、少し難しい顔をしていた。
「なあ、揚羽。その美容室、俺も一緒に付いて行ってもいいか?」
思わぬ提案をされ、僕は驚いた。
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