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#21
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それからの車内は無言で居心地が良いとは言えない。
必死に声を出そうとしても喉がヒモで縛られているかのように苦しくなる。
もし声が出たとしても言い訳にしかならないから声が出なくて良かったと思ってしまうほど。
窓の外は僕が住んでいた田舎とは真逆でどんどん高いビルが視界に入り、まさかこんな所に足を踏み入れるなんて思っていなかったから、めまいがしそうだ。
こっそり運転席を盗み見ると無表情という表現があっているかはわからないが、能面を張り付けたようなそんな顔をしていた。僕がこんな顔をさせているのかと思うと、この先一緒に住むのも心苦しくなる。
「もうすぐ着くから準備しておきな」
エンジンの音に混ざって彼の低い声が聞こえてきた。
ずっと声を出していなかったのと、突然の取締役の声に驚いて
「っ...あ、はぃっ」
と間抜けな返事しかできなかった。
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