アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
皆キライじゃ…
-
千里は一人だけちょい異質やった。
俺もテツもケイも、見た感じは普通のちょいグレたような高校生。
テツはアクセが大好きで、指から首から手首からジャラジャラしよる。
腕には見えんとこにタトゥ。おまけに金髪坊主。
ケイは一言でゆうたら穴だらけ。
口から耳から鼻までピアスあけまくって。
次は舌にしよかなとかゾッとするような事言うてはる。
真っ黒な髪に赤のメッシュ。長さは肩につくぐらい。
で俺。
二人に比べたらなんやまるっきり普通やな。
茶髪の髪に、ピアスは耳に一個だけ。
目だったとこは別にない。
うん。
フツーや…。
ほんで千里やけど。
とにかく女にモテる。
伸び切ったような耳下辺りまである茶色い髪に、でも後ろはそれより長い。
アクセは幾つか指輪だけ。ピアスは両耳に2個ずつ。あとはとにかく背が高い。自分がチビやから余計にそう感じた。
何が異質かって。
その雰囲気や。
同い年とは思えんくらい落ち着いた感じがする。
言う事はアホでも、それもなんや素やのうて頭で作ったようなん。
うまく説明できんけど、たまに見る冷めたような横顔が俺は嫌いやった。
唯一そこだけ、嫌いやった。
「千里、先輩来てはる」
「お、ほんま」
昼休みに四人でダベり中。
教室の戸口をなんとなしに見たテツが、そう眉間にシワを寄せた。
あの人知ってる。
千里と仲良い先輩。
それだけちごて、色々悪い噂も聞いてた。
「なぁ、何であんなんとつるんでんの」
「あんなんゆうな。やる事は鬼やけどな、ほんまはえぇ人やねんで」
「えぇ人は鬼みたいな事せんやろが」
気に入らんてオーラ丸出しのテツに、困ったように笑って千里が立つ。
そこまで辿り着くと、そのままどっかへ消えてしもた。
「ヤバイ事に手ぇ出してへんやろな」
「誰、千里?」
「あの先輩、前に傷害かなんかで鑑別入ってん」
「は?ほな何でガッコ来てんねん」
「親が手ぇ回したらしいよ。どっかのえらいさんやゆう話し」
テツとケイの会話に耳を傾ける。
聞いとるうちに、俺もなんや不安になってきた。
俺はまだ千里の事何も分かってへん。
仲良うなってまだ一年未満。
高校に入る前の千里を、俺は何も知らんかった。
「サスケ」
「んー」
「その泣きそうな顔やめぇ。また千里にひっつかれんぞ」
「べ、別に泣きそうちゃうし」
「心配?」
「何が」
「千里」
「…そりゃ、テツがそんなんいいよるし、友達やし、気にはなるよ」
「そんだけ?」
「他になんかあるん」
「別に」
意味深な事言うテツの顔はおもっくそニヤけたつらんなってた。
何が言いたいん。
昔からコイツは勘が冴えてる。
バレんのも時間の問題かもな。
や、もしかしたらもうバレてんのかも。
思ったらそれ以上その顔は見れんかった。
「あ、帰って来た」
「千里、サスケが寂しい泣いてたで」
「なっ、あほちゃうん!誰もそんなん―」
「ごめんな、あの先輩には逆らえへんねん」
「やで何も俺はっ、また、やめろやあほっ!!」
抱き付かれてもがく。
日課になりつつあるこの光景。
千里の匂いは、いつも俺を苦しめた。
「ぐりぐりすんなゆうてんねん!!縮むからほんま!!」
「ミニサイズでえぇやん。抱きやすい」
「だっ!?」
抱きやすいて…っ。
アカン。
そっち想像して鼻から血ぃ出そう…。
アホや俺。
「お前ら側から見たらあやすぃで。ほれ、あっちで女子がなんや言いよる」
「ん?あぁ、流行の腐なんとかやろ。えぇやん、妄想さしたろやんけ」
「モウソウて何やねんっ!てかいー加減離せ!!」
何の妄想?
俺と千里の何を妄想しとるん!?
勝手に脳内で絡ますな!
そんなもん俺が一番願とる事じゃあほぉ!
「あ、おとなしなった」
疲れた…。
「好きにさらせ。もう知らん」
「そんなんゆうたらほんま好きにするで?」
「…したらえぇやん」
はいウソ。
ごめんなさい。
「は、離せっ、あかんて、これは違った意味であかんやろ!」
マジ泣きそうなんですけど。
椅子に座った千里の膝上には横向きなった俺。
腰に腕回されて、目の裏にちかちかと星が飛び散った。
「ぶはっ、お前らマジ?」
「おホモだちやん」
「せ、千里!?ちょ、ほんまアカンてっ!!なぁ、離してや!」
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 43