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③
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さっき考えてた被害妄想が簡単に消えてなくなった。
ひっかかりが取れて、軽なった。
あんがと。
ほんまやったら気持ち悪いゆわれてもしゃーない事なんに。
あんがと。
俺は千里を好きでおってかまへんのやな。
一人でも味方がおったら俺はそんでえぇ。
許された気持ちんなる。
他人なんかて思てても、本音はやっぱり認めてもらいたいんよ。
フツーのカップルみたいに、フツーに見られたい。
「次休憩やって。トイレ行く?」
「外の空気吸いたい」
「ほな降りよか。コイツらはほってこや」
千里はそうゆうたけど、一応俺は声だけかけた。
まだ爆睡してる二人からはんーしか返事なかったけど、着いたサービスエリアでもっかいだけ体ゆすって。
そのまま千里とバスから降りた。
冷やっとする空気を思いっきり体内へ取り込む。
伸びして、それから飲みモンでもと歩き出した。
「後どんくらいやろな」
「一時間くらい?」
「はよサスケと遊園地行きたいわ」
「お前さぁ、もうちゅうとかやめぇて。約束したんちゃうん」
「周りが見えんくなるん。ごめんして」
肩を抱き寄せられて瞬時に抜け出る。
こんな人目があるとこではさすがに抵抗あるし。
千里には分からんかもやけどな。
自販機の手前まで来た頃、見た事ない他校の制服が目にとまる。
他の学校も遠足とかあんねんな。
どこ行くんやろ。
思てたら肩を叩かれた。
「サスケちゃうん?」
呼ばれて振り向いたらさっきまで見てた他校の制服が飛び込んでくる。
顔を確認して驚いた。
「え…、プーやん?」
俺がそうゆうた瞬間隣からぶって音。
見たら千里が笑い堪えてはった。
「なん、久々やな。お前らも遠足とかそんなん?」
「てかプーやん痩せたな…」
もちろんプーやんとかはあだ名。
中学時代コイツめちゃ太っててん。
自虐的な台詞とかで周り笑わして、やでついたそのあだ名も抵抗なく簡単に定着してた。
けどもう今となってはそのあだ名も通らへん。
激ヤセ。
しかもイケメンや。
「高校行き出してから急に痩せてん。俺もビビったで」
「てか背ぇも伸びた?」
「178くらいかな。これも急激」
178…。
なんやねんコイツ。
俺と変わらんかったんに、見下ろされてるし。
懐かしいなて話してたら横からぐいって腕引っ張られる。
「もう行くで」
「あ、うん。ほなな、また遊ぼや」
「したら携番教えてや」
「千里、ちょお待って」
「あかん、行くで」
腕掴んだままずんずん歩かれる。
段々小さくなってくプーやんに、俺は目一杯手ぇだけ振り回した。
「千里?もう離してて、歩きにくい」
「誰」
「何が?」
「さっきのイケメン君」
なんや、ヤキモチ?
「中学ん時のつれやん。心配してんの?」
「ゆうたやろ、俺以外見んなて」
急に低なった声に体が強張る。
ちょっとしゃべっただけやん。
それもあかんの?
思ても言葉にはできんかった。
喧嘩なったらいややもん。
「千里?」
「なん」
「怒ってん?」
「怒ってへんよ」
「ほんま?」
「ほんま」
「したら…」
取られた腕を逆に掴んで引っ張った。
そんまま人目のないとこまで行って、
「怒ってへんて証拠見してや…」
ゆうてから恥ずかしさにうつ向いてしもた。
それをすかさず上向けられて、やわこいあったかいもんが口に触れる。
「ん…!?」
「こんでえぇ?」
「あ、あほか!俺はぎゅうとかそんなんゆうててん!!」
何でこんなとこでちゅうしよるん!
いくら人目ないからゆうても外やで?
「サスケがめちゃ可愛い事ゆうから」
「あほ…」
この真っ赤な顔どうしてくれんの?
もうすぐ出発やん。
あほ。
もうほんまいや…。
これから先はまだ遊園地。
前途多難やなぁ思いながら、俺は重なった足取りでバスへと乗り込んだ。
(11)おわり
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