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海7
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子守唄のように波の音が届く。別荘の寝室はノアと同じ部屋をゲットした俺。嬉しさのあまり飛べそうだ。
ノアちゃんは初めてのことがたくさんあり、今にも夢の世界へ向かいそうだ。
ぽんぽんとノアの背中を撫でていると、コンコンと部屋がノックされ、両親が入ってくる。
「ノアちゃん寝ちゃいそうかしら?」
「まだ、寝ないと思います」
「ごめんなさいね。どうしてもお話したくて。」
「うみゅ…」
ほわほわ頬っぺを触りつつ、ノアを膝の上に乗せた。これは、ふわふわな体をどさくさに紛れて触りたいという訳ではなく、今にも寝そうなノアを支えるためである。
「ノアちゃんにはね、難しい話かもしれないけど…
ノアちゃんのねお父さんとお母さんは遠いお空に行ってしまってね、帰ることができないの。」
「ぱぱとまま、おねんねしてう。かえってこない?」
「そうね。難しいと思うわ。
それでね、私たちはノアちゃんの新しいパパとママになりたいと思うの。」
「あたらちい?ぱぱ?まま?」
しーんと静まる寝室。ノアは現実を受け入れたくない様子だ。まだ両親は生きていると思っていたのかもしれない。
「ノア、新しいお兄ちゃんは嫌か?」
「ううん、おにいたん しゅち(好き)!」
おにいたん しゅちに心臓がハートの矢で刺される。かなりの破壊力だ。
「…じゃあ、母上と父上は?」
「しゅき!」
「私もこの人もノアちゃんが大好きよ。
すぐにママパパと呼ばなくていいのよ。でも、少しずつでいいから新しい家族になってほしいの。」
「かじょく……」
ノアの中で消せないなにかがあり、それはもういない家族の存在なのかもしれない。そして、新しい家族の存在になることを躊躇っている。
そりゃ、家族になりましょう!はい!で簡単には答えられないよな。
「ぱぱ……まま…………うぅ」
大きな瞳が零れそうなほど、大粒の涙が溢れた。
ずっと寂しくて悲しかったんだろう。
辛さは本人しか分からない。
俺はノアをぎゅっと抱きしめた。
「…すまない。ノアのご両親を守れなくて。」
「うわぁぁぁぁん!!」
ノアは両親に会いたいと泣き、そのまま泣き疲れて眠ってしまった。まだ、この話は早かったのかもしれない。
「…ノアちゃんには遠慮なくなんでも言い合える関係になりたいけど、難しいわね。」
「時間が解決してくれると思います。」
「そうね。ノアちゃんが安心して暮らせるようにしていきましょう」
両親はノアを泣かせてしまったことに落ち込みながら部屋を出ていった。
ノアの頭を撫でながら、ベッドへ潜り込む。
悲しいことが忘れられるくらい明日が楽しめるよう、頬におまじないのキスを落とした。
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