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7.
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保健室に入れば保険医の朝塚 絢吾(あさづか けんご)がパソコンに向かっていた
俺たちが入ってきたのに気づくと青みがかった黒髪をかきあげ消毒液やガーゼを取り出す
「柊生、そこに刺さってる体温計で熱計っておいて」
「おう。わかった」
「陽佳院は今ポカリ入れるから大人しく飲んで」
「(……コクリ)」
テキパキと指示を出して手当の準備を進める朝塚
俺の脇からピピッと体温計が熱を測り終えた音が鳴る
豊森が「38,7分」と朝塚に伝えると大量に冷えピタと氷嚢を準備する
「とりあえず熱下げようか、熱中症になってるから柊生少し傷口軽く吹いてこのTシャツに着替えさせて」
「わかった、陽佳院上脱いで」
「……」
傷口を軽く吹いて俺が着ると膝丈くらいになるダボッダボのTシャツに着替えベットに寝かされる
至るところに冷えピタをはられ冷たい
熱を計って自分が熱が得ることを自覚するとすごくだるく寒いのに熱いし頭も痛い事にきづかされる
軽いブランケットをかけられ、横に豊森が座り頭を撫でられると瞼が重くなる
「今日はここで寝な、俺も絢吾もいるから安心しろ」
「(コクリ)」
目を閉じると朝塚と豊森が「なんで俺までいることになってんのよ」「いーだろ別に途中で悪化したらどうせ呼び出すんだし」「さいてー」と小声で話す声が聞こえる
こんなに心地よく眠りにつくのは何時ぶりだろうか
ずっと優しく俺の頭を豊森が撫でてくれている
心地よすぎて、離れがたくなる
少し夢を見た
いつもの悪夢ではなく
幸せな夢
俺が誰かの隣で前のようにニコニコ楽しそうに笑っている
俺の隣にいるのは豊森
少しつり上がった切れ長な目元がすごく優しく、包み込むような微笑みを俺に向けている
寝る時にしてくれたように頭を撫でている
すごく平和で今じゃ考えられないような幸せな夢
叶わない夢
来るはずのない幸せな時間
「「藍」」
優しく俺の名前を呼ぶ
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