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はじまりの歌
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自分は、この世界に必要ないものだと思っている。
将来はきっと大したものになれないし、一般的に働いても中の下でいてもいなくても変わらない。
そんな人間なんだろう。
幸い自分の上には才色兼備の兄と姉がいて、父親もそっちの方が可愛くて仕方ないに決まっているのだ。
自己肯定感の低さに押し潰されそうな日々。
そんな時ふと、匂いがする。
懐かしい、安心する匂いが。母親のように、温かく、無償の愛に包まれるような安心感ある匂い。
でもそれを嗅ぐと頭がくらくらして思い出す。
あの日、あの時の、電車のこと。
一生あの頃から立ち止まったままの、小さい俺のことを。
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