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静かなデッドヒート6
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行きとは真逆の重苦しい空気を肌で感じながら橋本はハンドルを握りしめ、榊たちが住むマンションまでインプを走らせた。
助手席にいる宮本は俯いたまま悲しげな顔をしているし、後部座席のふたりにいたっては、顔を合わせないようにするためなのか、車窓の外をそれぞれ眺めていた。
(和臣くんに雅輝を紹介した時点で、こうなることがなんとなく分かっていたのに、やっぱり会わせるべきじゃなかった……)
赤信号で停まった隙に、宮本の右手に自分の左手をそっと被せてやる。
橋本の手を見てから、恐るおそる顔を上げた宮本の眼差しは、ちょっとだけ潤んでいる感じだった。
無言のまま絡んだ視線に、橋本はちょっとだけ微笑んで頷いた。重ねた左手に力を入れて握りしめてから、すぐさまシフトレバーに移動させる。
一刻も早く榊たちをマンションまで送り届けてから、落ち込んでいる宮本の心のケアをしてやらねばと心が急いた。
信号が青に変わった瞬間、アクセルをぐっと踏みしめる。勢いよく走りだす愛車のキビキビした動きに、橋本の唇に笑みが浮かんだ。
仕事で急ぐよりも、大事な恋人のためにインプをここぞとばかりに走行させて、無事に榊たちを送り届けたのだった。
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