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15*日崎side
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正直北田がこんなに面白いやつだとは思ってなかった。
出会ってから1年以上はたっているような距離感に、「もしかしたら生まれたときから出会うこと決まってたのかな」なんて思う。
「あー…」
オレ、こんなめんどくさいやつじゃなかったはずなのに。
オレは北田にいろんなことを聞く。
北田は「なんでそんなこと聞くの?」とか「そんな面白いものでもないけど…」とか言いつつも、「オレが知りたいから」と言うとちゃんと答えてくれた。
だからオレは北田のことをいっぱい知った。
そして、一緒に過ごした時間が増えるにつれて、聞いたこと以外の癖もわかってきた。
笑うと顔が幼くなること、ツボに入ると5分は無音で笑うこと、お弁当の卵焼きは最後に残すこと。
なのに。
「不思議だなー」
いろんなこと知ってるのに。
まだまだ知りたりないのは──なんでだろ?
「きっとどんだけ一緒にいても足りないんだろうな」
これ聴いて何を感じた?さっきのメモ面白かった?オレのこと迷惑じゃない?
──音楽の何がお前をそうも輝かせる?
口元に薄い笑みを浮かべながらギターをかき鳴らす姿は、きっとオレしか知らない。
前川と橋元も一緒にやったことあるけど、両方手元(前川はスマホアプリで叩いてる)に集中してるし、本番の並びを意識してるから、ギターの北田の前にはボーカルのオレしかいない。
そのことになぜか優越感を感じていた。
──だってちょっと笑ってギター弾く北田、超かっこいいもん。
オレが羨ましくなるくらい。
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