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俺はただの仲介でしかないし失礼だとは思ったけど、"友達"として聞かずにはいられなかった。
「どうすんの?それ」
「うーん、どうしたら良いと思う?」
「俺に聞くなよ」
まあね、と日崎は笑って「でもさ」と続けた。
「よくオレにコクろうと思ったよね、昨日の今日で」
「…ああ」
昨日のことを考えたら、日崎は男が好きなんだって取られてもおかしくないし。──俺もそう取られてるのかも知れないけど。
「玉砕覚悟、みたいな?」
「それなら直接言いに来てほしかったわ」
「俺もそれは思ったけど」
玉砕覚悟かと思ったものの、視界の端に映った文章の最後は"お返事待ってます"といかにも女子っぽい丸文字でしめられていた。
「付き合うの?」
「あの子、かわいいとは思うんだけどな──オレはもうちょっとクールな方が好き」
「ふーん」
「それに今は、正直彼女とかよりバンドの方が大事かな」
「なんか複雑」
きっと何ヵ月も想いを育んできた彼女に勝ってしまうのは、申し訳ないと思う一方で、こんな俺をだいじにしてくれるのを嬉しいと思ってしまうのだ。
その日の放課後、日崎を靴箱で待っていた。
校門から出ていく彼女がたくさんの友達に囲まれて泣いているのを見た。
日崎もいつもより声のトーンがいくつか低かった。
恋って破れたら誰も得しないんだな──なんて思った。
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