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「日崎、なん──」
で、を紡ぐ前にその唇は再び塞がれた。
風邪で感覚が馬鹿になっているのか、前よりも重なる感覚が気持ちいい。
そして前よりも速いテンポで心臓が脈打つ。
体温、鼓動、息遣い、視線が絡み合って、混ぜ合わされて。
近くにいて話すだけじゃ混ざらない、2人の境界線が交わるこの感覚
──ヤバい、癖になりそう。
「──っ」
唇に冷たいただの空気が触れて少し寂しい感覚を味わう。
「か、風邪うつるだろっ…」
「大丈夫、オレ小学校入ってから風邪引いたことないから」
日崎はやっと俺から顔を離し、にやっといたずらっぽい笑みを浮かべた。
そしてそっと俺の額に手を添えた。
「熱あるんじゃない?」
誰のせいだと思ってるんだよ。
今日の朝熱出たのも、今また上がったのも。
「…そういうお前だって」
だるい右腕をゆっくり持ち上げて、日崎のさらさらした茶髪をかきわけて耳を触ると、俺とお揃いで熱かった。
そういえば俺から日崎に触れるなんて初めてかもしれない。
日崎は驚いたような表情をして、すぐに柔らかい笑顔に変わった。
ドキッ。
なぜかまた心臓が跳ね上がった。
なんで──?
てかそんな甘い表情は俺じゃなくて可愛い女の子のためにおいとけよ。
そんなことを考えると余計心臓がうるさくて、よくわからなくなってきた。
「…今日は、もう帰って。マジで、うつるし」
「──うん」
バイバイ、と手を振って俺の部屋のドアは閉められた。
──もっといてほしかったのに。俺なに考えてるんだろ。
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