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「……っ」
人に冷たいトーンで返事をされるのってこんなに痛いことだったっけ。悲しいことだったっけ。
「嫌──だった?」
いや、日崎だから痛いんだ。
出会ったときからずっと俺に温かくしてくれてた日崎だから。
「ううん、別に。──北田は相田さんのこと好きなの?」
どきっとした。
確かに彼女は特別な女子であることは確かだ。
夏祭りに行く話を聞いたとき、真っ先に誘いたいと思った。
だけど、それが好きと呼べる感情なのか──俺には、わからない。
彼女の顔を思い出す。派手なわけではないけど、長いまつげや丸い瞳にはちゃんと可愛らしさが宿っている。
あの柔らかそうな白い肌に、あの細い首筋に、あの紅い唇に、あの胸のふくらみに──俺は興奮しているのか?
「──わからない」
俺にはまず好きってなにかが、わからないから。
「そっか。とにかく誘ってみなよ。相田さんは結構北田のこと好意的には見てると思うよ?」
「うん、わかった」
日崎の声がいつも通りに戻った。安心できる、頼れる声に。
午後の授業は技術だからコンピューター室に移動しなければいけない。
メモ回せないな…。
ということで、作業しながら相田さんに渡すメモの文面を考えることにした。
≪相田さんへ≫
まで白のメモに書いて、どうせならピンク色のメモとかの方が可愛いかと思って、白のメモはぐちゃぐちゃにする。
≪夏祭り行くんだよね?≫
……うーん、盗聴してたみたいだし、いきなりこんなこと言われたら気持ち悪いな。
それに敬語使った方が──
いつの間にかパソコンからすっかり手を離して考え込んでしまっていた。
それに、考えてることが口に出てしまう危険性もあった。
──ああもう、家帰ってから考えよ。
姉ちゃんたちに相談するという考えが浮かんだけど、首をぶんぶん振って消す。
絶対いじってくるもん。特に真奈とか。
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