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38*日崎side
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『嫌──だった?』
北田と別れた帰り道、昼休みの北田の一言がよみがえる。
「オレだってわかんねえよ…」
悔しさと苛立ちを混ぜて蹴った小石は電柱に当たって止まった。
相田さんは良い子だと思う。それなりにかわいいと思うし、優しいし、明るいし、オレには悪いところは見つけられない。
『北田は相田さんのこと好きなの?』
──なんでオレはあんな馬鹿なこと聞いたんだろう。北田がどう答えたってプラスの感情は生まれないのに。
オレにそう聞かれたときに北田が一瞬止まったこと、オレは気づいてる。自然に話そうとしていたのに、好きなのか聞かれたら止まった北田。
──それならいっそ肯定してほしかった。そうしてくれればオレはこのよくわからない気持ちも、勘違いとしてなかったことにできるのに。
今もやもやしてることも、あの質問を否定してほしかったことも、相田さんのことを羨ましいと思ってしまうのも──心のどこかでは、その気持ちの呼び方は分かっている。
だけどそれを認めたら。きちんと名前をつけてしまったら、──もう勘違いにはできないから。
だからオレは、応援なんかしちゃってる。
バンドのグループラインで、橋元が≪バンド名なににするー?≫と送ってきていた。
正直どうでも良い。今なんにもしたくない。
≪わたがしモンスターとかでいいんじゃね?≫と反応した前川に≪いいと思う≫とだけ返事を打って、ソファーに体を沈めた。
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