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家に帰ってから、相田さんのラインを追加した。
いつもの友だちと3人で写ったプリクラのアイコンに、『ゆき』という名前。猫とか食べ物とか初期設定のままとかのアイコンの中に紛れ込んだそれは一際光って見える。
なんて打とうか迷っていたら通知が鳴った。
≪よろしくね!≫
可愛いうさぎのキャラが笑顔を振りまいていた。──日崎のキモカワ(?)な犬とは大違いだ。
≪よろしく≫
最初から入ってる熊がお辞儀しているスタンプを添えた。
一文字ずつ緊張して打つから、よろしくの一言だけでも1分かかる。
≪時間とか決まってる?≫
えーと、ちょっと待って…と相田さんに届かない声をかけつつ、日崎からもらったメモを探した。
≪夜6時40分から 神社の横の公園 バンド名は『わたがしモンスター』 です≫
≪わかった!おもしろいバンド名だね笑≫
≪『マシュマロモンスター』ってバンドの…≫
いつの間にか俺の顔が、メモに日崎画伯が描いた左右非対称の綿のかたまりと同じように笑顔になっていた。
「真斗ー!ご飯できたからおりてきなさーい!」
「はーい」
≪ごめん、ご飯の時間になっちゃった≫
≪あ、もうこんな時間! また明日学校でね!≫
いつの間にか30分ぐらいやりとりしていた。
相田さんは聞き上手だ。俺のつたない話にも真剣に付き合ってくれる。
そういうのが相田さんが愛される所以なんだろうな。
階段を降りていつものテーブルへ体を向けると、いつもの椅子にあいつがいないことに気づいた。
「あれ、真奈は?」
「彼氏とデートだってさ~」
にやにやしながら母さんが料理を運んできた。
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