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そんなこんなで7月が終わろうとしている。
前川の家で練習したり、いつもの公園で練習したり、近くの河川敷に行ってみたり。
前川の兄弟(なんと6人もいる)とも仲良くなって、毎日まことの成長記録がラインで送られてくる。
ラインといえば、相田さんともそれなりに毎日やり取りをしていて彼女が大のディズニーマニアということがわかった。
だからメモ帳もチップとデールだったんだな。
相変わらず恋愛対象として好きなのかはわからないけど、人のいろんな面を知れるのは楽しい。
そういえば、日崎はあれからよく手を繋いでくれるようになった。
手を繋ぐ──というより、引っ張ってくれてるだけなんだけど。
最近はちゃんと帽子も被っていってるし、日陰を通るようにしてるからそんなに暑くない。だけど、自分の腕の先に日崎の腕が繋がってる光景と、脈まで繋がる感覚がくせになってしまってつい甘えてしまう。
俺の手を素直に取って、振り返らず話す日崎は何を思って歩いてるんだろう。
──考えてもわからないことを考えるのはやめよう。俺は鈍いから他人の考えなんてわからない。自分の思いさえよくわからないのに。
ついに本番が今週の土曜に迫った水曜日。
≪ごめん北田!用事入ったから今日の練習は夕方からで!≫
……まじかぁ。
別にもうだいぶ仕上がってるからいいけどさぁ……。
──夕方は結構涼しいから引っ張ってもらう口実がないな、なんて。
俺は何考えてるんだろう?
何もすることはないし、頭もぐちゃぐちゃだし、ギターでも弾いとこうかな。
日崎が認めてくれたギター。少しは俺も好きになってきたんだよ。
コンコン。
足でリズムを取りながらノリノリで弾いてるところにノックの音が混ざった。
「はーい」
「真斗起きてんのー?」
あ、姉ちゃんだ。珍しい。
「うん」
ギターを置いてドアを開けると、やけににこにこしてる姉ちゃんが立っていた。
「お姉ちゃんと映画見に行かない?今日からあの恋愛映画が始まるのよ~」
あぁ、一週間前ぐらいから言ってたやつか。姉ちゃんが好きな俳優が出てるとかで見に行きたがってたやつ。
でも絶対俺と一緒に行く映画じゃないと思う。
俺そういうの見てもわかんないし。
「真奈と行けばいいじゃん」
「行こうと思ってたんだけどねー、真奈は今日友だちと遊びにいくの。急に誘って今日遊べる人なんて真斗以外にいないでしょ?ポップコーン好きなの選んで良いからさ、お願い!」
明日でもいいじゃん──って言おうと思ったけど、姉ちゃんの目で『これ逆らえないやつだ』と悟った。
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