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「ここが風呂、あっちがトイレ。で、ベッドはあれだけど。零は床に布団敷いて寝るでもいいよな?」
俺の質問に、零はこくんと頷いた。
結局あの後引くに引けず、俺は零を家に連れ帰った。
マンションで一人暮らし。
とは言っても俺は学生だし、細い廊下からリビング直結の小さな部屋だ。
「今日はもう寝よう。疲れただろ?」
「…………。」
「俺は明日午前中に講義があるから家空けるよ。零は?学校には通ってるのか?」
「…………。」
零は頷いたり、首を振ったりで返事する。
どうやら学校には通っていないようだ。
「じゃあ留守番してて。昼は適当に何か買って帰る。」
「………。」
「よし、寝るぞ。」
部屋の灯りを消し、ベッドに潜る。
変な日だったけど、久々にこんな疲れたからぐっすり眠れそうだ。
夢の世界に旅立つ直前、足元でもぞもぞ何かが動く。
ズボンが下ろされ、………え、ズボンが?!
「何やってんだ……?!!」
驚いてベッドから飛び上がると、窓から差す月明かりに照らされた零が不思議そうな顔で俺を見つめていた。
「何って……、ご奉仕…?」
「はぁ?!んなもんいらねぇよ!!」
突然のことに頭の理解が追いつかない。
意味が分からない。
ご奉仕って何!?俺、そんなこと頼んでないけど!!
「…………んで」
「ん?」
「…じゃあ、なんで……、そんなによくしてくれるの…?」
零は小さな声で震えながらそう聞いた。
何で…か………。
「助けちまったから仕方ねぇじゃん?」
「………。」
「それにおまえ、なんか放っておけねぇし。」
零はあまり納得していなさそうだけど、俺がご奉仕とやらを必要としていないことは理解したらしい。
布団に戻って、じっと俺を見つめている。
「そんな見られると、寝られねぇんだけど。」
「…………。」
「聞いてる?」
「………ごめん。」
謝りながらも、零は俺を見ることをやめなかった。
背中から痛いくらい突き刺さる視線を無視して、俺は無理矢理眠りについた。
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