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次の日の朝、目を覚ますと目の前に綺麗な寝顔があった。
「うわぁ?!」
「……………ん、何……?」
「何?……じゃねぇよ!別々の布団で寝るつったろ?!」
「……………。」
俺は飛び起きて、零から距離を取る。
あの綺麗すぎる顔は目に毒だ。
本人も無意識だったのか、キョトンとした顔をしている。
「僕、ここにいた?」
「あぁ、いた。だから今俺は驚いてる。」
「………ごめん。」
「いや、わざとじゃねぇならいいんだけど……。」
よくねぇだろ。と心の中で自分にツッコミつつ、大学に行く支度をする。
コーヒーを淹れながら、昨日のことを思い出した。
「零、コーヒーよりココアのがいい?」
「………。」
零はこくんと頷いた。
昨日店長が淹れたコーヒー、飲むスピードが異常に遅かった。
店長、基本ブラックしか淹れないからな。
もしかして苦手なのかと思って確認すると、案の定そうだった。
「甘いのが好きなの?苦いのが嫌いなの?」
「………苦いのがダメ……。」
「ふーん。」
「…………檸檬さんは?」
「俺はコーヒーはブラックで飲めるよ。てか、檸檬でいいよ、歳も近いし。」
「………檸檬。」
零は何故か嬉しそうに微笑んだ。
何が嬉しいんだか。
「レモンは、酸っぱいね……。」
「ん?あぁ、そうだな。」
「でも…、檸檬は良い香りがする。」
「まぁ、そうだな。」
何言ってんだ…?
突然レモン語りを始める零に困惑する。
話、合わせてやるべきなのか…?
「俺は好きだけど。レモンサワーとか美味いし。」
「僕も…。」
「零は酒飲めねぇだろ。」
そう言うと、零は黙った。
こいつもしかして未成年飲酒したな。
もしくは、"させられた"か…。
少し表情が曇ったから、話を切り替える。
「そうだ。零は外出る予定ないよな?」
「………。」
「ん。じゃあ留守番頼む。冷蔵庫のもんは好きに食べてて良いよ。昨日言った通り、昼飯は買って帰るから。」
俺は合鍵を零に預け、コートを羽織って玄関に向かった。
「いってきます。」
「……いってらっしゃい。」
零の小さな挨拶に見送られ、大学へ出発した。
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