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悶々とした一日
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side ちとせ
家はつまらない。誰もいないし何も無い。どこもかしこも自身の物しかなくて、落ち着くはずなのに何かが足りない。その何かがわかっているだけにどんよりとした気分が晴れることはない
「犬、持って帰って来ればよかった…」
斗真のベッドに置き去りにしてきた犬のぬいぐるみ。毎日抱きしめて眠っていたためそれが癖になったようで、昨夜は寝つきが悪かった
今日は月曜日。斗真がゆづると会うと言っていた日だ。何時にどこで会うのか、何をするのか俺は知らない。2人のやり取りを覗いてしまいたかったがさすがにそれは良くないことだと堪えた。しかし気になって仕方がない
ベッドに寝転がって枕を抱きしめ何度も何度も寝返りを打つが昼寝なんて出来そうにない。気晴らしに出かけようかとも思うが、窓の方をちらりと見れば太陽が照りつけ見るからに暑い
「やめとこ…」
こんなに暑そうなら2人は遊んでいないかもしれない、なんて考えるがそれは希望的観測でしかない。通話の時のゆづるの様子なら例え嵐の中でも遊んでいそうだ
斗真が好きで堪らない…言われずとも口に出さずとも誰にだってわかる態度だった。もちろん斗真がそれに気がついていないはずがないし、それでも近くに置くのだから斗真はゆづるを特別扱いしていると言える
斗真のゆづるに対する態度は、瀬戸や佐久間といった幼なじみたちに対するそれとは違う。それに以前瀬戸に聞いたが幼なじみは彼ら3人だけだと言っていた。確か幼稚園から一緒だったとか
ならばゆづるは一体何なのか?ほかの有象無象のセフレたちとは明らかに違う。そもそも斗真が相手をしている男は俺かゆづるだけだ。斗真に恋心や憧れを抱く男子生徒が他にもいることは知っている。だが誰一人として相手にされているという話は聞いたことがないし見たことも無い
ゆづるは『特別』なのだ
ならば俺とゆづるの違いって何だ?
なんで斗真はあの時俺に手を出したんだ?
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