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「なぁ、潮海」
出来上がったばかりの筑前煮を盛りつけながら爽が呼ぶ。
「何ですか」
土鍋で炊いたご飯はおいしいと知った爽のリクエストで、今日は炊飯器でなく土鍋で米を炊いてみた。
それを茶碗によそいながら返事する雅。
雅は夏以来、プライベートでは爽を名前で呼ぶようになった。
しかし爽は、やはり抵抗があるようで、いつの間にか元通り雅を名字で呼ぶようになっていた。
潮海家にいる間は不便だから名前で呼んだが、実家でないのなら不便はない。
爽はそう言い訳した。
「ハロウィンてさ、何するんだ?」
いつも通りカウンターに並んで座り、箸を取る。
「仮装じゃないんですか」
今夜の味噌汁はわかめ。雅の実家から送られてきたものだ。
「お前、英語しゃべれる?」
「は? そんなわけないじゃないですか」
「だよなぁ」
爽がレンコンを口に放り込む。
歯ごたえがあって味も染みてて我ながらおいしいと悦に浸る。
「なんで英語とハロウィンなんですか?」
「ん~」
土鍋で炊いたご飯は本当においしいな、と内心にやけている爽は、香ばしいおこげを噛みしめながらどう説明しようかと考えていた。
小出はハロウィンパーティーに来ませんかと言った後で、一緒に行きたい方がいたらどうぞ、と付け加えた。
大人数のほうが楽しいでしょ?と笑う小出が緊張しているのは見て取れた。
今まで小出に社外でのイベントに誘われたことはない。
正確に言えばいつだったかバーベキューに誘われたことはあったが、あれは社内の人間とその家族の集まりだった。
今回は違う。
小出以外は知っている人がいないイベントだ。
友人を作れという意図ではないだろう。
英会話スクールに勧誘する目的でもないだろう。
「10月最後の日曜日、暇か?」
「今んとこ予定は無いですけど…」
「じゃ、ハロウィンパーティー行かないか?」
爽は小出に誘われたがひとりで参加は心もとないと事情を説明した。
「それ、俺邪魔でしょ」
「どうして?」
「どう考えてもデートっていうか、爽さん目当てだから」
数秒考えてから「そうかなぁ」と腑に落ちない様子の爽。
「いっぱい友達連れてきてって言ってたぞ?」
「じゃ、合コン」
「パーティーだろ?」
雅は爽がここまで鈍いとは思っていなかっただけに、彼の様子に頭を抱えた。
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