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好きが溢れる2
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「わんちゃん…?」
目を覚ますと辺りは薄暗くなっていた。
確かにわんちゃんの匂いがする部屋に、わんちゃんの姿はない。ズキズキと痛む頭に、汗ばんだ熱い体。皮膚の表面もチリチリとする。
寝たら少しは良くなると思っていたのに、むしろ悪化した気がする。力がうまく入らずフラつく足取りで寝室を出た。リビングの扉の隙間から漏れ出る光に、わんちゃんがいると分かり、ほっと胸を撫でおろす。
「わんちゃん」
扉を開け、いつも2人並んで座るテレビ前のテーブルで勉強をしている後ろ姿に声をかける。バッと勢いよく振り向き、心配そうな表情でおれの元へ駆け寄ると、ソファーまでゆっくり連れて行ってくれた。
「槐、体調はどう?熱は…まだ高そうだね」
ソファーに横になるよう促され、背もたれに畳んであったタオルケットをかけてくれる。熱を測るようにおでこに添えられた大きな手のひらがひんやりとしていて気持ちがいい。
体温計を渡され、ゴソゴソと脇に挟み、もっと、と強請るようにわんちゃんの手を掴んでおでこに乗せる。体の熱を冷ましてくれるその冷たい手が撫でるようにゆっくりと動き、頭の痛みもスッと和らいだ。
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