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口からでた言葉
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「……そんなこと、してない…。してないよ…?」
瑛兎が急に手をどかしたから僕は上半身を起こして彼を見つめて言った。
体温が下がる、胸がすーっとする。
うまく息が吸えない…。
「…じゃあなんで、あんな近かったの…。その先輩に、こうやって…触られたんじゃないの?」
瑛兎は僕を試すように耳元でそう囁いて首筋を指先でゆっくりなぞった。
ビクッと震えつつ、声を絞り出して
「…触られてない…、なんで……、疑うの。なんで、信じてくれないの。なんでっ…
どうして……僕は、信じたのに…。広菜と、瑛兎がキス、してるかもって…思っても、我慢した、し、広菜が瑛兎とどんなに話しても……重いって思われたくなくて…我慢、したのに…。瑛兎が…シてくれないのも、つらいし、僕だけ、瑛兎に何十倍も恋してるみたいで、もう、本当…やだ……ぐす、」
涙も出て、自分でも情けない顔になってるってわかってるけど、どうしても、とまらない。ふいに、そんな言葉が口からでてた。
「え…広菜?え?」
瑛兎はわけがわからない、と言ったような顔で驚き、また困惑していた。
ああ…、もう嫌われるかも。
こんなよく深い人間、嫌われた方がいいのかもしれない。
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