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瑛兎
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「…遊びじゃなかったら,律はい-の?」
低い声が部屋に響く。
そんなに大きくない声だったのに。
「そ…それは…」
本気だったら?
本気だったら僕は瑛兎と
付き合う?
「ほら,律は逃げてるだけじゃん。
だいたい俺は遊んでなんかない。本気」
逃げ…て,る…?
確かに 僕は迷って逃げてたかも
しれない……けどッ
「本気の人は他の人と付き合うんだ⁉︎
キスだって,それ以上だって…ッ、僕は
そんな瑛兎なんて大っ嫌いだ‼︎‼︎」
一瞬収まりそうになった涙は
また大量に溢れ出す。
なんで…こんなにも胸が締め付けられる。
ふと瑛兎の方に視線をよこすと
瑛兎は泣いていた。
声は出さないけど,静かに
目から流れる涙を拭こうともせず
ただ、頬を伝っていた。
「…じゃないと..律…俺のこと振り向いて
くれない。今日の放課後キスする時,
律いたの知ってた。知ってたからキスした。
もしかしたら、嫉妬してくれるんじゃないかって 。もしかしたら、独占欲でモヤモヤして 振り向いてくれるんじゃないかって…」
……そんな…。
じゃあ瑛兎は僕を振り向かせようとして…
けど…普通そんなことしちゃ駄目だろ。
「どうしたら…俺の事好きになってくれるの?俺の事…きもいと思ってる?もう友達じゃない……?」
そう,瑛兎は続けた。
きもいとは思ってない。
友達だと ,いい友達だと ,いや,
家族くらいの存在だって思ってる。
「…御免。お前の気持ちには…
応えられない。瑛兎は男子からも女子からも
モテるし、すぐいい人見つかる。友達のままで
いよ-よ。それじゃ駄目?」
ありのままの自分の気持ち。
きっと これでよかった 。
きっとこれで。
「わかった」
瑛兎は
諦めが早かった。
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