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各国壁ドン事情 白の国編3
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赤の国――王宮にてグランデル王陛下が壁ドンを敢行しようとし、執務室の壁が大破する。その際に生じた瓦礫による被害はなし。
青の国――王宮にてミゼルティア王陛下が壁ドンを敢行しようとし、執務室の壁を破壊。幾つか瓦礫が吹き飛ぶも、これによる怪我人はなし。
緑の国――王宮の庭園にて、カスィーミレウ王陛下が壁ドンを敢行しようとし、結果、衛兵のひとりが負傷。全身打撲。魔法を使用するか、経過観察の後に判断。次回経過を報告。
紫の国――王宮、王の私室にて、ネオネグニオ王陛下が壁ドンを敢行しようとする。王陛下の世話係が顔面を負傷。怪我人はひとり。額への打撲と鼻からの出血が認められるものの、骨折はなし。魔法の必要はないと判断。
黄の国――城下の市場にて、国民に次々と壁ドンを実施していたリィンスタット王陛下に、王獣リァンの雷が落とされる。負傷者・王一名。通常通り回復魔法を施し、その後、王陛下は執務に戻られた。
黄の国に関しては、案の定である。いや、これが案の定というのもどうなんだ、といった感じだが、いつも通りである分、いつも通りだなぁ、で終わる。だがしかし、他の国は、何をやっているのか見当もつかなかった。壁ドンで何故壁が破壊されるのかもさっぱりであれば、負傷者が出る原因も判らない。神官は首を捻りっぱなしである。
「壁ドン、というものが、本来危険性の無いものであることは、先程理解しましたが……。こうも危険を呼ぶ可能性があるのであれば、円卓会議で規制を視野に入れた提案をする必要も出てくるでしょうか」
悩ましそうにする王を見て、神官は考える。
王は心優しいお方なので、民の流行を奪うのは心苦しく思っているのだろう。だが、もしも人が傷つく可能性があるのならば、その可能性をできれば減らしたいとも考えているのだ。確かに、報告書に上がってきている事故は、下手をすれば大事になりかねないものもある。
しかし。しかしである。
(壁ドン、なんだよなぁ)
所詮は壁ドン。普通、大事になるような代物ではない。なる方がおかしい。重ねて言うが、ただの壁ドンなのだ。
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