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7-②
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「ちょ、おいっ。悦郎帰るんじゃないのかよ」
「いーからいーから」
靴を履き替えて学校から出ると思いきや、突然あらぬ方向へUターンさせられる
いまだに腕をガッシリと掴まれ、悦郎の後をついて行く事しか出来ない
しばらく我慢してたけど、いよいよ『どこ行くんだよ』と抗議の声を上げようとした時
「はい、しゃがんで〜」
「は?えつ…」
校舎の裏庭に来たと思えば、急に立ち止り、今度は肩を掴まれ
強制的に身を屈めさせられた
こじんまりした用具置き場の建物に身を隠すような体勢
理由も無く連れてこられて、イラっときていた俺の目の前で、人差し指だけを立てて、シーッと静かにするようジェスチャーを見せる悦郎
詰め寄ろうとした途端、その後ろから…
「あ、あのっ、わ、私…」
緊張を孕んだ女の子の声が飛び込んで来た
(び、ビビった…)
なんだろうと、ソロ〜ッと顔を上げるとその前方には、肩まで真っ直ぐ伸びた黒髪を揺らした女の子の後ろ姿と、女の子の目の前には
「ッ!!!」
さっき別れたばかりの佐久間が立っていた
(えーっと、これってもしや…)
悦郎と目が合い、俺の言いたい事が分かったのだろう
悦郎がゆっくり頷く
佐久間が言っていた用事って…
(告白の真っ最中じゃんッ!)
こんな盗み見る真似、したくもない
早くここから立ち去らないと
そう思った俺の心を読んだのか、また腕を掴み、ダメだと言わんばかりに頭を左右に振る
そして…
「大丈夫だから。旭はちゃんと見ていた方がイイと思って」
いつになく真剣で、すごく優しい声で言うもんだから、その場から動けなくなる
「その…私、私…ッ」
女の子が何度もその後の言葉を紡ごうと、頑張っている
それをジッと聞いてあげている佐久間
そりゃぁ、佐久間は男から見たってカッコイイと思う
俺に馬鹿な事言っていても、女の子からアプローチされてるのを何回も見た事がある
でも、間近で…というのは今までなかった
なんだか俺まで緊張する
そして落ち着かない
「ず…ずっと、佐久間くんの事が好きだったの。わ、私と…付き合ってください」
震えた声
消えそうな、でもハッキリと意を決した想いが耳に届く
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