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運命なんか、信じない
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オメガの千歳を嫌っているのは明白なのだが、本当に関わりたくないのなら、警察を呼ぶなりしたはずだ。
「レグ、いつもは失敗しないのにねー」
腰にエプロンを身につけ、再びキッチンへ立つレグルシュにユキが、きゃっきゃっと笑いながら余計な一言を入れる。
またユキに言わせたんじゃないか、と、不満が飛んでくるかもしれない。
千歳は内心ひやひやしていた。
が、何も言われなかった。
レグルシュの分が用意出来てから、三人で「いただきます」と手を合わせた。
オムレツの中にはトマトやほうれん草、きのこなどの具材がたっぷり入っている。
いい具合に半熟になった卵を口に運ぶ。
「美味しい……です!」
久しぶりの食事に感動し、千歳はつい繕わないままの感想を溢してしまう。
慌てて敬語を付け加えた。
遠慮がちな一口から、次第に大振りなものへと変わる。
千歳がどんな言葉で料理を褒めようとも、レグルシュが笑みを浮かべることはなかった。
こんがり焼けた薄切りのバゲットに、ユキがクリームチーズと蜂蜜をたっぷりとのせている。
手を汚しながらかぶりつく様子は、まるで野生児のようだ。
「ちーはハチミツ好き?」
「う、うん。好きだよ」
とろっとした黄金色の液体は、確かに千歳がよく知っている蜂蜜だが、真ん中に蜂の巣が浮かんでいる。
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