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マヌルネコ
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「ちーの分は入ってないっ!」
「ピーマンはもう食べちゃったんだ。美味しかったよ。ユキくん、ちょっとだけでもいいから食べてみない?」
「嘘だぁ……ピーマン苦くて美味しくないもん」
「僕もユキくんくらいのときは嫌いだったけど、大きくなったら食べられるようになったんだ」
「じゃあ、ユキも大人になってから食べる!」
完全に論破され、千歳はう、と言葉を詰まらせる。
テーブルを挟んだ向こう側で、小さな笑い声が聞こえた。
もしかして、と千歳は視線を上げたが、いつもの面白くないような顔をしているレグルシュがいるだけだった。
「余計なことを言ってこいつをつけあがらせるな。全く……」
千歳は小さくなりながら「すみません」と謝る。
マグカップに入ったオニオンスープの、ぴりっと辛い味がいつまでも舌に残ったままだった。
……────。
レグルシュと喧嘩した後のユキは、決まって千歳に甘えたがる。
普段はレグルシュとお風呂に入るユキが、「ちーと入る!」と駄々を捏ねていた。
レグルシュが許すはずがない。却下されてユキの機嫌がもっと荒れるだろうと、千歳は思っていた。
しかし、意外にもあっさりレグルシュはそれを許した。
反抗したいがために、そしてレグルシュに構って欲しいがために、ユキは千歳のことを使っているのだろう。
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