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マヌルネコ
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心配させまいと千歳はすぐに起き上がり、駆け寄ってきたユキの頭を撫でた。
「ママと会う約束してたんだね」
「……うん」
「会えなくて寂しかったんだよね。ユキくんは我慢出来て偉いね」
ユキは縋りつくようにひしと千歳に抱きついた。
たくさん泣いて顔が真っ赤だし、身体も熱い。
「明日になったらママが迎えに来てくれるかもしれないよ。ユキくん、明日お寝坊しないように一緒に寝ようね」
千歳のでまかせに、ユキはにこにこ笑って「うん!」と勢いよく頷いた。
その笑顔を見て、罪悪感で胸がちくちくと痛む。
ユキは素直にベッドへ入り、千歳の手を握った。
泣き疲れたのだろう。すとんと意識は落ち、可愛い寝息を立て始める。
眠ったのを見届けると、千歳はユキを起こさないように、手を解いた。
「ちー、いなくならないで」
ユキの寝言に、千歳ははいともいいえとも、答えられなかった。
リビングはまだ明かりが点いたままだが、レグルシュはいなかった。
あんなに泣いていたユキを放り出して、どこかに行くなんて。
何も言わないままでは、眠れない。
意地でもレグルシュが帰ってくるまでは、ここで待っておくことにした。
徹夜も覚悟したが、すぐに玄関のほうから音がした。
ラグの上へ座る千歳の顔を見るなり、レグルシュは近づき隣へと腰を下ろした。
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