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マヌルネコ
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──え?
コンビニの白いビニール袋が、かさりと乾いた音を立てた。
近くで見て、日本人ではいない瞳の色が美しいと改めて思った。
針が集まったような虹彩に、長い睫毛の影を落としている。
「い……」
「痛むか?」
急に頬に触れられて、飛び上がりそうになった。
千歳の頬に、ひんやりとしたものが当てられる。
何なのだろうと、レグルシュが破った袋に視線を落とす。湿布とサージカルテープだ。
「口を開けろ」
「え……何でですか」
「切っていないか確認するだけだ」
「切ってません。そんなに強く当たりませんでしたから」
「自分では分からないだろう。いいから見せろ」
世話になった男にこれ以上強くは言えず、千歳はしぶしぶ口を開けた。
中に指を入れられて、唇の裏までもレグルシュは隅々チェックする。
「……悪かった」
「僕は、大丈夫です。こちらこそ、事情も分からずに勝手なことを言って、すみませんでした。仕事をしながら子供の面倒を見るのは、大変ですよね」
「お前がいなかったら、ユキに大怪我を負わせるところだった。事情はどうあれ、子供に手を上げようとしたのには違いない。俺はクズだな」
千歳の怪我は打撲だけだった。
レグルシュは蜂蜜を溶かしたミルクを二人分淹れると、千歳にマグカップを手渡した。
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