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ユキ
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「んー。苦くなかったら……」
水餃子のスープと焼き飯を二人分用意し、千歳とユキは「いただきます」と手を合わせた。
ユキはスプーンを手に持ったまま、硬直している。
──やっぱり、嫌いなものはどうしてもダメだったかな。
一応、ユキが食べられないときは、ピーマン抜きのものをつくろうと他の材料は残している。
お腹が空いているだろうに、食べようとしないユキに、千歳は声をかける。
「無理しなくても大丈夫だよ。また今度、ユキくんが大きくなったら食べてみよう?」
「だ……大丈夫だよ! ユキ、ピーマン食べるって言ったから」
ユキはスプーンの先でご飯を掬うと、一気に口に入れた。
くしゃっと目尻に皺をつくりながら、目を閉じてもぐもぐと口を動かしている。
「……ちーのご飯おいしいっ!」
「よかった。ピーマン苦くなかった?」
「つぶつぶでちっちゃいからあんまり苦くない!」
その後はいつものペースで食べ始めたので、千歳はほっとする。
千歳も小さな頃はピーマンが苦手だったが、これだけは唯一食べられたのだ。
よほどお腹が空いていたのか、ユキのほうが早く食べ終わり、まだ残っている千歳の焼き飯を見つめていた。
「お代わり食べる?」
「うんっ!」
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