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ユキ
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「ユキくん。ごめんね……」
今度は千歳が手を伸ばして、ユキをその中へ迎え入れようとする。
ユキは怯えた目を向けるだけで、樹の側にぴったりとくっついていた。
発情の予兆に、千歳は一番大切なユキの手を振り払ってしまったのだ。
ユキのはっきりとした拒絶に、背中がすうっと冷たくなるのを感じる。
幸い、店内にアルファはおらず、オメガのフェロモンは誰にも感知されていないようだった。
「だ、大丈夫ですか?」
「はい……すみません」
──今まで発情期をコントロールできないなんてこと、なかったのに。
ストレスなどで性バランスが乱れることはあると聞いたことはあるが、千歳にとっては初めての経験だった。
渇いた喉を冷たい氷水で一気に潤すと、樹に向かい合う。
「さっきの女性はエレナさんではないですよね? どのような関係なのですか?」
「そんな、怪しい関係ではないんだ! ユキの通っている幼稚園の親御さん仲間でね……お世話になっている人なんだ」
「ユキくんはもう登園はしていないのだと、レグルシュさんから聞いています。失礼ですが、今でも交流を?」
ユキは外見のことでいじめを受けて、登園しなくなったのだと聞いている。
それなのに、ユキの父親がいまだに関わりを持っている?
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