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ユキ
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「まさか! エレナとユキのことは愛しています。……ただ、あの写真を消してもらうまでは……すみません。時間がかかっても、必ず戻ってくると約束します」
「写真?」
千歳がその言葉を拾うと、樹はしまったという顔をして、蒼白する。
千歳が引き止めるよりも早く、鞄を抱えてその場から去ろうとしていた。
気付くのも判断も遅かった。テーブル席の間を縫うように樹は走り抜ける。
だが、ドアの手前でユキが立ちはだかった。
「ぱぁぱ……なんで、ユキのことおいてくの? ユキが幼稚園行かないわるい子だから?」
「そんな……そんなわけないだろう」
「ユキね、ひらがな読めるし、ピーマン食べられるし、お友達もできたんだ! レグとちーも遊んでくれるの」
「ユキ……ユキ。すごいなぁ」
樹は涙を滲ませながら呟いた。
抱き上げると、ユキは涙で濡れた樹の頬にキスをする。
樹も同じようにキスを落とし、数ヶ月ぶりに再会した我が子の存在を確かめるように、胸の中へ抱いた。
「……エレナさんと、一度話してみてはいかがですか? 先送りにしたって、お互いと……ユキくんのためにはならないと思います」
「……ですが」
気弱さを表情に出す樹に、ユキは「だいじょーぶだよ」と励ました。
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