アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
恐怖
-
そしてついにライブ当日になった。
「おは!」
湊がいつも通り家にやってきた。
ただ、今日はいつもと違う、私服だ。
この前も星崎君に何も言われなかったし、意外と何を着ても大丈夫かもしれないと思って、適当に選んだ。
「おはよう、行こっか。」
「おう!」
そういって僕らは電車に乗って、うちの高校の先輩がしているバンドのライブ会場へと向かった。
「すっげぇ人だな……」
駅に着くとそこは人であふれかえっていた。
「そうだねぇ。」
僕はそう言いながらチケットを確認する。
「あ、席はA列だって。」
「まじか、近いじゃん。ラッキー。」
「ほんとだね!あ、もう始まるみたいだよ!」
僕らは急いで中に入った。
中は薄暗くて、なんだかいやな雰囲気があった。
「うへ……なんか雰囲気悪いな……」
「ね……。僕もちょっと怖いかも……」
そんな雰囲気の中、僕らは人ごみをかき分け席へと向かう。
あれ、湊がいない。どこいったんだろう...席に行けば会えるかな。
「ねえ、そこの君、ひとりかい?」
急に知らない男の人に話しかけられる。
「い、いえ、友達と...」
しどろもどろに答えると、
「ちょっと一緒に話さない?」
と僕の肩を抱いてどこかへ連れて行こうとする。
いやだ...離してほしい。
到底力が弱くて振り切れそうもなく、絶望だと思ったその時。
「あ!お前、あんときの!!」
そこにやってきたのは、あの時ぶつかってしまった男の先輩だった。
「ん?そこの人と来てんのか?」
僕がうるうるする目で先輩に訴える。怖くて声が出せない。
「え、あんた、誰?そいつ、俺の後輩なんだけど」
何かに気づいたらしく、先輩が男の人にそう言ってくれた。
「あ、ああ...凛音さんの後輩なんすね!失礼しました!」
男の人は頭を掻きながら去っていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 58