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「ひっついて寝ちゃって、甘えん坊だなあ」
共有イメージの中にある監視モニタを見て、男はにやにやした。
「またクロネちゃん見てんの」
「いいじゃねえか、最近は髭面のおやじと顔つき合わせて一年も缶詰だ。お菊さんの寝姿も拝めるしな」
「ほどほどにしろ、相手は機械感応者だ。便所にでも起きだしたら気づかれるぞ」
「寝ぼけて気づくもんか。常にセキュリティを監視してる訳でもないようだしな」
「お前……クロネが起きてる時も盗撮してたのか。いい加減にしろ、付き合いきれないよ」
「ふん」
よく言う。
画面の中の猫ちゃんに見せている夢は、詰った男の制作物だ。もとは菊蛍用にプログラムしたが、死んでいるかと思うほど反応がなかった。
「かなりキツイ奴も用意したんだが、全然だね。無反応」
「実家でどんな目に遭ってたんだよ……薩摩こわっ」
そら恐ろしくなってやめた一件だが、一年ほど前にその菊蛍から可愛いクロネのためにゲーム制作をしてくれという依頼が舞い込んだので、クロネにハラスメントを開始した。
「今日のは?」
「定番だけど触手。夢の中を覗けないのが難点だ……そろそろかな」
「どれ」
付き合いきれないと言いながら、共有モニタにアクセスしてくる。
「菊さんが抱え込んでてよく見えないね」
「顔アップにするか。ほら、呼吸が荒くなって瞼と小さい唇が震えてる。俺の見せた夢で感じてんだ」
菊蛍が途中で目を覚ましたが、悪い夢を見ているとでも思ったのか、クロネの髪を撫であやしている。
「ロマ・マフィアの首領とまで呼ばれたお菊さんが母猫みたいだね」
「子猫かわいさにゲームタイトルのプレゼントか。よっぽど入れ込んでる」
「こんな悪戯がばれたらただじゃ済まないよ」
「そこがいいんだろう」
「えへへ……」
「お、イッた」
「イキ顔いいねえ」
さしもの菊蛍も眠っている間に大事な子が夢の中で弄ばれているとは気づかない。
これで精神に影響が出るなら皇軍警察に通報されてしまうが、淫夢程度なら露見しないのだ。技術者として機械感応ウィッカーをからかう楽しみもある。
「さて、次は何の夢にしようかね」
***
最近夢見が悪い。
昨日は触手だっけ。イボだらけの触手に捕まってあちこち嬲られ、変な汁のせいで膨みすぎた乳首を執拗に扱かれて、直腸に産卵された。目が覚めて思わず胸元と腹を確認しちゃったよ。あったのは下着の中の不快感だけだった。
妙に生々しくて、ほとんどの内容覚えてる。夢精にしたってこんなアダルトムービーみたいな夢……そういうジャンルがあることは知ってたけど、俺は見たことないよ? ほんとびっくりした。
「ちかごろ夜中に魘されるようだが、大丈夫か」
まさかドギツいエロ夢見てますとは言えず、心配する蛍にホントのことは言えなかった。
どうもおかしいと思って、ハイドには恥を承知で夢のことを話したんだ。そしたらさ。
「夢を操るプログラムはある」
「そんなのあんのか」
「寝てる間にサイレントでトーキーしかけて、仮想次元にイメージ展開すんだ。けど、かなりの技術がないと実現しねえしリスクも高い。
お前があかんぼの頃くらいに一時期流行ったことがあんだけどよ、被害者の精神が異常をきたして検査すると一発バレすんだ。しかも二級人権侵害で皇軍警察が動く。俺はやったことねえな。面倒でリスク高いのに、夢ん中なんて覗けねえから面白くない」
精神に異常をきたす段階まで行かないと検査に出ないのか。俺にそんなもん見せて益があるとも思えないし、ただのエロ夢だろ。
その日の夢もマニアックだった。設定的には昨日までの刹那的なエロよりマニアック。
俺はテラ時代中世ガリア文化の小さな農村の住人。貧しい母と二人暮らし。食事は固くなったパンに干した肉や果物など。妙にリアルな生活。
ある時、村の教会で悪魔憑きと告げられ、悪魔祓いのために教会に預けるよう神父が言う。信心深い母親は疑うこともなく俺を差し出した。
教会の地下にはなぜか恐ろしげな拷問具や拘束具がたくさんあって、嫌がる俺を縛り上げ服をひんむいた。
「わかるか、ここに悪魔がいるのだ」
節くれだった指が前立腺を押すもんだから、呻く。
「うぁ、ぁ…っ!」
「悪魔が苦しんでいる証拠だ」
うるせーよ前立腺刺激されたら男なら誰だってこうなるわ。
「これは聖水だ」
と言ってどう見ても潤滑剤か媚薬の小瓶を尻の穴に突っ込んで流し込んだり。
「こうして悪魔祓いをする」
と言って後ろから犯された。
「あ、あぅ…っ! や、やめっ」
「この子の体から去れ、悪魔よ!」
「んぁ…ああ、ああっ」
去れじゃねーよ悪魔はお前だよ禿爺。
悪魔祓いと称した児童虐待の末、
「お前の中の悪魔は強くなり、私の手には負えなくなった」
神殿のほうに送られることになった。
悪魔憑きというより、悪魔そのものの扱いを受けて、悪魔祓いの儀式と称し上から吊るされ猊下の前で屈強な神殿騎士に犯されまくる。
「うぐっ…んぁあ」
「卑しい悪魔の子め!」
立ちバックで腰振りながら卑しいと言われましても……乳首抓るな。
その後、猊下の寝所に送られて犯された。
結局のところ、女犯禁止の教団なので、地方から適当な子供を僧や騎士の性欲処理のために攫っている……というオチ。あくまで悪魔祓いの神聖な儀式で、悦がったり苦しむのは悪魔が増大してるせいだと。
見たことはないが、どっかの創作BLにありそーな話だった。
「クロネよ、クロネ。どうした」
性奴隷として戦争に連れてかれるエピソードの途中で蛍に起こされた。
心配そうに覗き込む蛍に頬を撫でられながら、実家? と首を傾げる。汗に濡れて張り付いた髪が落ちる。
「あ、いや……怖い夢を見たけど、内容は忘れた」
「忘れさせてやろうか?」
汗ばんだ額に口づけ、蛍が指を絡めてくる。きゅっと握り返した。
悪魔と罵られて不特定多数に犯されまくった夢なんか塗りつぶしてほしい。
妙にリアルだったからさ。母子家庭の子、片親の子、まともじゃないと言われた子供時代を思い出した。まともじゃないから何をしてもいいと殴られて、殴り返したら俺のせいにされ、おふくろは言い分も聞かずに相手の親に平謝り、そのあと折檻。
なんで普通の子と同じように出来ないのって責められる。だから、あー俺は普通の子じゃないんだって子供心に思ったもんだ。
自分のことだから気にしてなかったが、コネコが自分をそんなふうに思ってるとしたら、やりきれない話だ。
「また考え事をする」
「ん………」
口づけされて意識を戻される。
「あっ、ちょ……っ」
指が性器に絡んで撫で回す。指で先端を包むようにしながら人差し指の腹が裏筋を捏ねた。亀頭を手のひらで包むように緩急つけて揉み、尿道口に爪をたてる。
空いた手のほうも、なぜか乳首の先端部分だけ擦るように刺激する。
「ひぃんっ、先端だけや…っ」
神経通ってるとこを重点的に攻められて身を竦める。
蛍と繋がりたくて言ったんだけど、蛍はクリームを指につけてアナルをほぐしながら先端を刺激し続ける。
「あ、ぅ…! 前とうしろ、どうじ…っ、い、いっちゃう、からぁ……!」
「ふふ」
「ふぁっ」
笑いまじりの吐息が耳にかかってゾクゾク震えた。前立腺のあたりコリコリしながら前を扱かれ、呆気なく射精する。ただ、蛍は……
「あっあ! いや、潮いや……!」
イッてる時に巧みな手つきで先端刺激してくるんで、
「ひぅっ」
透明な水が噴水のように勢いよく跳ね上がった。
「ん、ん……ひぅ」
ぐずるように息をして強すぎる余韻にぐったりする。
「ふぅ、ん…んっ。ほた、ほたる……うしろ、ほしぃ。挿れて」
強請ると蛍がキスをしながら足を持ち上げた。
ん、ああ…蛍の入っ……きもちぃ、きもちいよお。ほたる、もっとして……
蛍?
「!?」
気がつくと目の前にいたのは蛍じゃなくて見知らぬ男だった。でっぷりした体をしてて、悪臭の漂いそうな胸毛をしてる。
「な、なに……」
逃げようと藻掻くけど、アームレストに膝のあたりがベルトで固定されてる。
「ひっ、い」
肥え太った丸い腹の下の肉棒で貫かれた。
生理的に無理……! 体が汚い。陰毛みたいな乳首毛が醜い。たるんだ皺の中が変色してる。へそが硬くて不衛生。
「いっ、いやだぁあああ! やめろぉ!!」
泣き叫んでも腹肉とCカップくらいありそうな胸肉をたゆんたゆんさせながら腰をゆすり続ける。
男の顔はよく見えない。何重もの顎から上は闇の中。
ハイドはクズだし嫌いだったけど、少なくとも会話が成立した。アジャラ皇子の時は、俺も彼を利用したし、合意みたいなもんだった。
だけど、このエイリアンみたいなぶよぶよした男は……なんなんだ?
息荒くはふはふ言ってる。俺の胸元を触ってエクスタシーに浸ってるようだった。あーお、あーおって動物みたいな喘ぎ声上げながら腰振って。
肉のぶつかる音が響く。ぬめった肉塊が出入りする。
いや。いやだ。見開いた目から涙が落ちる。
蛍、助けて……蛍。
「クロネ!」
ばちっと目が醒める。
あ、あれ? 俺……ああ、そう。蛍とヤった後、眠くなって。そのまま? あれ、夢か。夢か……?
「今度はうなされるどころか、悲鳴を上げていたぞ。どうした。溜め込むなと言ったばかりであろう」
「………」
蛍の胸の中に顔を埋め、震える。
もっと強烈な夢は今まであった。触手はグロテスクだったし、悪魔憑きのエロ夢も酷いストーリーだった。けど、今日のは現実と区別がつかないほどリアルで……
「蛍、こわい。誰かが俺にヘンな夢見せてる」
「なに?」
「多分だけど……」
駄目だ、震えすぎて上手く喋られん。悪寒が収まらず蛍の腕にしがみついた。
あーお、あーおって不気味な声が耳に残ってる。
蛍に抱えられて医療室へ向かい、ミチルさんが呼び出された。
「夢レターねえ。また懐かしいものが出たねえ。セキュリティを確認したほうがいいね、そういう手合は絶対に反応見て喜んでるから」
「クロネの精神は大丈夫か?」
「後に残らない軽い鎮静剤を打つよ。後は君が側にいてあげて」
感知に強い俺にも知られずに盗撮してるってことは、システム自体に組み込まれてるんだと思う。最初から細工されてたなら、システムにとって異常じゃないから、セキュリティじゃ検知できない。
となると、被疑者として挙がるのはメカニックのバサラさん。サノ。電脳ワーカー古株数名。あと鷹鶴と蛍。彼らが内部キーを把握してる。
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