アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第13話
-
翌朝、自宅マンション地下駐車場にて、シラサカはある人物の到着を待っていた。
「おはようさん!」
「……おはよ」
昨日までは助手席に大悟を乗せて学校までドライブデートだったが、今日からはカズミを学校に送り迎えすることになった。
「俺の顔見て、あからさまに凹むんやめてくれる、ケイちゃん」
「こうなった元凶はおまえだからな。なんでレイなんかにちょっかいかけたんだよ」
シラサカが言うまでもなく、カズミは後部座席に乗った。
「システムレイはクラッカーの憧れの存在や。向こうが気抜いとったとはいえ、大悟が陥落させたんやから、俺にも出来るかもしれんやん。けどな、あいつ、すぐ気づきよるねんで」
カズミがシートベルトを装着したことを確認して、シラサカはエンジンをかけ、車を走らせた。
「あいつはケイちゃんより下やろ。なんかあったら庇ってもらえるもんや思ってたのに、ケイちゃんの名前だしてもスルーやねんで」
シラサカはボスの花村に次ぐ立場ではあるものの、実務的なことに関してはレイに任せっぱなしであった。
「俺には俺の仕事があるんだよ」
「そやな。ケイちゃんは、俺らが日本で生活出来るようにしてくれたもんな。それに関してはめっちゃ感謝してる。ホンマありがとうな!」
いつかのミカ同様、カズミはシラサカに恩義を感じているようだが、自分はレイに言われて仕事をしただけなのだ。
これ以上話していると、自分の無能さが身にしみてくるため、そんなことよりと言って、シラサカは話を変えた。
「レイに言われたからとはいえ、こんなこと引き受けていいのかよ。ミカちゃん、心配してないのか?」
今日から大悟が学校を休む分、カズミが表立って動くことになった。ハナムラのことをよく知っているとはいえ、彼は組織外の人間かつ未成年である。
「俺に話ふる前に、ミカちゃんは説得済みや。ケイちゃんもイケメンやけど、レイ君もかっこええわゆうて、目がハートマークになっとったで」
用意周到なレイのことだから、ミカだけでなく、治巳にも根回ししてあるのだろう。
「大悟がしばらく休むことは、朝のホームルームで発表されるやろ。それ聞いて、鳥居がどう動くかやな」
後部座席で腕組みをして、うんうんと頷くカズミ。
「外では俺がなんとかしてやれるが、校内は無理だぞ」
「そない心配せんでも、相手はマスコミやで。校内で騒ぎを起こせば、今よりもっと立場が悪なる。ヤクザにひとりで喧嘩売った俺からすれば、こんなん痛くもかゆくもないわ」
確かにその通りではあるのだが、シラサカとしては、カズミを危険な目に遭わせたくないのである。
「昨日の様子からして、鳥居勝馬は事情知らんで動かされてる可能性があるな」
鳥居の話になると、カズミは厳しい表情になった。
「ケイちゃんは見てへんかったやろうけど、大悟が倒れたとき、あいつ、兄貴に詰め寄っとった。おまえは知らんでええことやゆうて、はぐらかされとったで」
カズミが言うように、シラサカは頭に血が上っていて、周りが見えていなかった。何から何までカズミにフォローされていることに、内心ショックを受けた。
「調べてみたら、鳥居勝馬と鳥居圭介は、血が繋がってへんかった。母親の再婚で出来た兄貴やったわ」
だからどうしたと言いたい気持ちを飲み込んだ。役立たずのシラサカが言えることではないし、そんな身の上話はどこにでも転がっている。
「なんやろな。どうゆうてええかわからんけど、普通の兄弟とはちゃう気がしたんや」
「そりゃあ普通とは違うだろ、血の繋がりがないんだから」
「まあ、そうやねんけど。仲良すぎな気がしてな」
カズミの違和感がどういうものか、彼自身もシラサカもわからなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 80