アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第14話
-
Kが藤原を学校まで送って行ってる間、大悟の元にはある人物がついていた。
「ミカちゃんさんのミートボール、美味しいね!」
相変わらず挽き肉料理しか出さない藤原の母のミカである。
「ホンマに? そんなんゆうてくれるん、大悟君だけやわ」
そう言ってミカは笑う。彼女の笑顔をみていると、大悟は温かい気持ちになるのだ。
「嘘じゃないよ。Kや藤原には内緒だけど、ミカちゃんさんの料理はね、母さんの味がするんだ」
亡き母は、ミカのように華やかな顔立ちではなかったけれど、食事に関しては似ている気がした。Kや藤原は味が薄いだの微妙だのというけれど、大悟はちっとも気にならない。ずっとハンバーグが続いても苦ではないのだ。
「あらあら、嬉しいことゆうてくれるのね」
ミカはそう言うと、大悟の頭をよしよしと撫でた。
「あなたを抱きしめるのはケイちゃんの役目やけど、あなたのお母さんにはなれるかもね」
「ダメだよ、ミカちゃんさんは藤原のお母さんだもん」
大悟にはKがいて、辛いときは側にいてくれる。だからこそミカは、藤原の側にいて支えてほしいのだ。
「前にも思ったけど、大悟君はホンマにええ子やね」
ミカは一段と顔をほころばせて、笑ってくれたのだった。
食事を終えて片づけをしようとしたが、それもミカがやってくれたので、手持ち無沙汰になった大悟は、リビングでノートパソコンを開いた。早朝に添付ファイルつきのメールがきていた。差出人はレイで、大悟に声をかけてきた鳥居圭介の顔写真や経歴、彼が所属する大手新聞社の関わりが深いと思われる人物までピックアップしてあった。
レイはすごいな。俺が寝てる間に、ここまで調べるんだから。
昨夜彼が訪ねてきた後、Kは大悟を抱えてベッドルームに連れていった。甘い空気は封印され、自分を子供扱いし、子守唄まで歌い出す始末だったが(眠れないからやめてくれと懇願した)体は疲れていたようで、まもなく眠ってしまったのだ。
「片づけ終わったから、私は帰るわね」
ミカが暖かいお茶をテーブルに置いてくれた。
「色々ありがとう、ミカちゃんさん」
「どういたしまして。……あらあら、懐かしい顔がおるわね」
開きっぱなしのノートパソコンの画面には、ある男性の顔写真が載っていた。
「この人、知ってるの?」
「新地と銀座でクラブのホステスしてたから、一度会うた人の顔は忘れへんの。確か、大手新聞社の新人記者でこういうところは初めてやからって、めっちゃ緊張してた記憶あるわ」
画面の顔写真は、鳥居圭介の上司にあたる社会部のデスク瀬野京平(せのきょうへい)である。
「もう二十年以上前やから、ずいぶん偉くなってはるやろね」
「ミカちゃんさんが働いてたクラブって、どんなところなの?」
華やかな顔立ちと話し上手なところ、所作の綺麗さからして、高級クラブではないだろうか。
「そやね。ケイちゃん位の収入がないと、なかなか難しいかもね。一見さんお断りやったし」
「当時、誰に連れてこられたか、覚えてない?」
二十年以上前かつ新人記者という立場であったなら、そういう場所に出入り出来るわけがない。おそらく強力な後ろ盾があったということだ。
「さすがにそこまでは。この人のこと知りたいんやったら、昔のホステス仲間に声かけてみよか? 私の記憶は大昔やけど、今も現役のママがおるから」
「うん! ミカちゃんさん、出来る範囲でいいから、この人のこと教えて!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 80