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第20話
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レイと藤原を加えた四人でオンラインで話し合った結果、明日の手筈が決まった。
鳥居の両親は出張中で不在らしく、今は圭介と勝馬のふたり暮らし。よって圭介には会社に出社してもらう。話し合ってる最中にレイが準備をしてくれた。こうして勝馬ひとりという状況を作った上で、大悟と藤原が訪ねる。そこから先は状況にもよるが、勝馬が学校に行くというのなら、それに乗じて連れ出し、そうでなくとも藤原親子が住むマンションに連れて行く。勿論、階上に大悟とKが住んでいることは秘密にする。
Kは保護者兼運転手として一緒についてくるものの、鳥居本人とは顔を合わせず、口も出さないでもらう。
『不測の事態に備えて、俺もフォロー出来るようにしといてやる』
「うん、ありがとう! やっぱりレイはすごいね」
皆の意見を聞いて、すぐに段取りをまとめあげたレイに、大悟は感動していた。
『わかってると思うが、今後はおまえもやるんだぞ』
「そんなの無理だよ。レイみたいに完璧に出来るわけないし」
『完璧にやれとは言ってない。少しずつ、出来る範囲でいいから考えろ。アドバイスはしてやるから』
レイは段階を踏んで、大悟の成長を見守るようである。
「わかった。頑張ってみる」
『よし。話はまとまったから俺達は消える。藤原、通信切るぞ』
『え、いや、ま──!?』
レイは有無を言わせず藤原の通信を切った後、念押しするように言った。
『シラサカ、カナリア、藤原和己はハナムラの人間じゃない。そのことを決して忘れるなよ』
大悟はKと共に頷くと、レイの顔も画面から消え失せた。
「さて、ずいぶん遅くなったけど、晩飯にするかな」
話に夢中で空腹をすっかり忘れていた。時計を見れば、既に深夜に近い時間帯になっていた。
「ハニー、何食べる?」
「うーん、今からデリバリーは無理だし、冷凍食品とかでいいや」
大悟はキッチンへ向かい、冷凍庫を開ける。スーパーで買っておいたチャーハンとお好み焼きを出し、どちらがいいかとKに問いかけようとすれば、背後からそっと抱きしめられた。
「ねえ、キスしてもいい?」
「いいけど、Kはチャーハンとお好み焼き、どっちが……ッ……!?」
途中でくるりと反転させられ、Kの唇が言葉を塞ぐ。それだけでなく、舌を絡めて、欲情を植えつけていく。
「……ッ、、だ、め、ご、はん……ッ!?」
聞く耳を持たず、Kは大悟の口内を侵略していく。朝から夕方まで抱いておいて、まだ足りないというのか。
「俺の食事は、これで十分だから」
透明の糸が途切れた後、Kは大悟の頭をポンポンと叩いて笑う。
「ハニーはどっちがいい?」
なぜいきなりキスなのか、それが食事とはどういうことなのか、大悟は目を丸くするばかりである。
「さっき、俺がキスしようとしたら、拒んだでしょ」
大悟の疑問を悟って、Kが言った。
「あれは、Kが話をはぐらかそうとしたから!?」
「あん時、結構傷ついたんだよねえ」
Kはその場で腕組みをし、うんうんと頷く。こういうところは本当に大人げないと思う大悟であった。
「それは悪かったけど、食事しないのは話が違うよ」
「俺はね、今日一日ハニーをいっぱい食べたから満足なの」
「食事はちゃんと取らなきゃだよ、K」
「うんうん」
大悟の話を聞いているのかいないのか、Kはダイニングテーブルに座った。
「もう、ちゃんと話聞いてよ!?」
「じゃあ、ハニーが食べさせて」
Kは頬杖をつき、満面の笑みで大悟を見やる。
「それなら食べる。それ以外はいらない」
なにそれ、意味わかんないし!?
「それで、ハニーはどっち食べるの? チャーハン? お好み焼き?」
キスを拒んだことを根に持っているのか、それとも他の何かがあるのか。大悟はまだKの真意を測りかねていた。
「Kと食べるから、どっちも!」
チャーハンとお好み焼きがテーブルに並び、美味しそうな匂いが漂う。こうなると、忘れていた空腹が蘇る大悟であった。
「ほらほら、ハニー、食べなよ」
Kの隣に座り、大悟は箸を持っていただきますと手を合わせる。まずはお好み焼き、箸で切って口に運ぶ。
「美味しい?」
こくりと頷く大悟。同じようなサイズに切って、今度はKの口に運ぶ。
「うんうん、美味しいね」
Kが嬉しそうにしていると、大悟も嬉しくなる。次はチャーハン、スプーンですくってKの口に運んだが、ハニーが先だよと言って、口を開けない。こんなわがままなKは初めてである。
「言ったでしょ、俺はハニーを食べて、お腹いっぱいだって」
確かに朝から夕方までKに抱かれていた。それは事実ではあるが、それで空腹が満たされるものなのかと、大悟は頭を捻る。
「ほら、早く食べて」
言われるがまま、大悟はKと交互に食事をした。自分が食べ終わるまで、Kはじっと見つめてくる。彼が終わると自分が食べなくてはならず、ひどく落ち着かない。
「ねえ、いつまで続けるの、これ」
「だって俺、全然すごくないから」
大悟が食べ終わったのを見計らって、Kが口を開ける。チャーハンをスプーンですくった最後の一口を放り込む。
ん? すごくないって何が?
言葉の意味がわからず、大悟が首を傾げれば、咀嚼を終えたKは頬杖をつき、じっと見つめてきた。
「俺はレイみたいに完璧じゃないし、アドバイスとか無理だからね」
意味を理解するまでに数秒の時間を要した。そして、大悟は自分が発した言葉を思い出し、くすりと笑った。
そっか、俺がレイを褒めたから、Kはいじけてるんだ。
「ちょっと、なんで笑ってんの、ハニー!?」
カッコいいだけじゃない。Kは時々こうして甘えてくる。それがたまらなく愛おしくて、Kという名の檻に大悟はますます囚われていく。
「ううん、笑ってない。ごめんね、K」
尚も不服そうなKに対して、大悟から自分からキスをしたのだった。
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